――転職に関する情報発信を副業として始めたのはいつからですか。また、どんな考えで始めたのでしょうか。

「3度目の転職後、リクルートからスタートアップの会社に移った後です。大企業でも倒産やリストラが起こることを目の当たりにして『会社がいつどうなるかわからない』と、自分ごととして真剣に考えるようになりました。会社に寄りかかった働き方をして、もし会社がダメになったら自分はどうするのか、と考えて副業を始めてみようと思いました」

「この頃には転職を繰り返す中で得た知見もそれなりにたまっていました。転職サイトにどんなスキルを登録しておくと、どんなスカウトが増えるのかなどは常に分析していましたし、転職サイトも転職エージェントもほぼすべてに登録して、自分に合う、合わないも含めて、それぞれの特徴などもわかるようになっていました」

「『転職アンテナ』というブログを立ち上げて、同時にSNSの活用も始めました。これまで自分が使ってきた転職サイトの良いところや悪いところ、面接で話すべきこと、読んで役に立った本など、転職で必要な情報を網羅したブログを作りました。すべて自分の体験に基づいた内容です」

「2016年くらいから始めたこのブログが予想以上に注目されて、SNSでも話題になりました。『motoさん』というキャラクターも世の中に認知され始め、副業だけで年間4000万円の収入を得られるようになりました。ちょうど30歳で、このブログは法人化しました」

――副業の収入が本業を上回ったとき、本業を辞めようとは思いませんでしたか。

「私の中では、本業と副業は別軸だと思っています。組織の中で評価されて稼げる金額と、個人として稼ぐ金額は違うと思います。組織で働いて成果を出したいことと、自分個人がどこまで通用するかを試したいことは、求めているものが違います。お金を理由にその目的がどうでもよくなるということはありません」

本業と副業のバランスはどうすべきか(画像はイメージ=PIXTA)

「本業の中で得た経験や知見を、副業に還元するというスタンスです。もちろんその逆で、副業が本業に生かせることもあると思います。自分の経験値を資産に変えていくという考え方が一番いいのではないでしょうか。『趣味を副業にする』と言う人がいますが、私はこれには少し違和感があります。自分にとっては副業でも、お金を払う側からすれば、副業か本業かは関係ありません。お金をもらう以上はビジネスなので、相手の期待に応えなければならない。自分を一つの会社と見立てたときに、価値を返せるのかどうかという視点をしっかりともったほうがいいと思います」

ゴールは「企業に依存しない体質」

――今、転職や副業を考えている人たちに、何かアドバイスはありますか?

「大切なことは2つあると思います。まずは、目の前の仕事をとにかく頑張って最大限の成果を出すことです。もう1つは、次の次の転職まで見越して行動してみることです。転職というと、目の前にある今の仕事をおろそかにして、給料がよくて知名度もある表面的によく見える会社を選んでしまう人が多いような気がします。転職すること自体を目的にしてしまいがちです」

「転職はあくまでも手段です。転職することをゴールにするのではなく、転職した先でどうなって、その次でどうなりたいのか、自分の将来を見据えて行動していくことが大事だと思います」

「本当のゴールは『企業に依存しない体質を作ること』ではないでしょうか。会社の言われるままになっていたり、自分の不満をすべて会社のせいにしてしまったりするのは、主語を『会社』として考えているからです。そうではなく、自分は何がしたいのか、自分には何ができるのか、という思考に改善したほうがいいと思います」

「新型コロナウィルスの影響で社会は大きく変化しようとしていますが、外部環境が変化しても、働き方の本質は変わらないのではないかと私は思っています。どうすればお金を増やせるか、どういう働き方をすれば給料は増えるのか、今の会社が自分にはベストなのか、もっと(自分が)必要とされる会社は他にないのかなど、いろいろな選択肢を自分の中に見いだすことで、可能性の幅は広がります。そのような考え方が、これからの時代はさらに広がっていけばいいと思っています」

moto(モト)
1987年生まれ。本名は戸塚俊介。長野県の短大を卒業後、地方ホームセンターに就職。転職によりリクルート、スタートアップなど6社を経験。現在は広告ベンチャーで営業部長を務める一方、副業として自身の体験をもとにしたブログ『転職アンテナ』(https://tenshoku-antenna.com/)を運営。現在は法人化し、「moto株式会社」の代表を務める。

(山田豊)

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