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高額酒を外国人指名買い 600種そろう銀座の酒販店

世界で急増!日本酒LOVE(20)

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NIKKEI STYLE

全国3000近くの飲食店やバーなどに酒を卸している酒販店「いまでや」は1962年、千葉市で創業。全国各地の日本酒に加え、ワインも種類豊富にそろえているのが特徴だ。ミシュランの星を獲得した有名高級レストランなどにも酒を卸している。

銀座から世界に日本酒情報を発信

小売りとしては、ここ数年で酒ショップ「IMADEYA」(千葉市や東京・錦糸町など)4店舗を展開。さらに東京・新富町では国産ブドウから造る250種以上の「日本ワイン」や日本酒などをそろえる和食店「蔵葡 -Kurabuu-」も運営している。一方、海外へは12年からフランス、台湾、韓国、カナダにも輸出を開始。今後も輸出先を増やしていく予定だ。

酒ショップ4店の中で、年々外国人客の利用が増えているのが、東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」内にある「IMADEYA GINZA」だ。同店では英語・中国語・スペイン語・韓国語で対応できるスタッフがいるほか、自動翻訳機なども駆使して世界中からの外国人客に対応している。店舗のSNS(交流サイト)でも日本語と英語で投稿中だ。

「今は売り上げの3割程度を外国人客が占めています。今年はオリンピックイヤーということで、売り上げの半分くらいまで伸びるかと期待していたところなのですが…」と話すのは同店店長の大川翔平さん。最近の感染症などの影響で、目下、銀座界隈の客足は日本人も外国人も遠のいているが、今後の回復に期待を寄せる。

酒は日本酒だけで約600種類、ワインは日本ワインを中心に約400種。ほかに国産ウイスキーや焼酎、国産クラフトジンなども扱う。国産の酒がこれほど勢ぞろいしている酒店は珍しいので、ギフトを買い求める外国人観光客にも人気なのだ。

特筆すべきは同店での外国人客の購入価格。日本人客の場合、平均するとボトル2本(4000~5000円)くらいなのに対し、外国人客は3000~50万円以上と購入価格に非常に幅がある。中でも中国で飲食店を経営している客や、中国で日本酒の学校を手がける客など、中国人による高額なスーパープレミアム酒の購入が目立つ。

例えば、楯の川酒造(山形県)の精米歩合1%まで磨いた「光明」(720ミリリットル、約10万円)や、新澤醸造店(宮城県)の精米歩合7%の「残響」(同、時価)、菊姫(石川県)のとても希少な「菊理媛(くくりひめ)」(同、約2万4000円)などが中国人客の間で人気だ。

「ギフト用に3万円以上のものでないと、というお客様もいて、そういう方は金額だけで酒を選びますが、できるだけそうならないようにその酒の製法や蔵のことなども説明しています。(上記のような)スーパープレミアム酒のブランド名だけを覚えていて、銘柄指定で買われるお客様も。そういう層が中国人客の中に存在するのです」と大川さん。

一方、欧米系の客は、ホテルや自宅で飲むため、自分用の酒を購入していくことが多い。それでも値段は1本約1500~1万円とやはり幅広い。「新政」(新政酒造・秋田県)や「而今」(木屋正酒造・三重県)、「黒龍」(黒龍酒造・福井県)といった酒は帰国後、現地ではなかなか飲めない人気有名ブランドなので特に人気だ。

ほかに「日本滞在中に飲食店で飲んでおいしかったから買いにきた」と、酒のラベル写真をスマホで見せてくる客も少なくない。これら欧米系の客には、スッキリした淡麗辛口やフルーティーな大吟醸などが好まれるという。

台湾からは20本近いまとめ買い客も

「一番日本酒の文化が浸透しているなと感じるのは、台湾です。皆さん熱いですね」と大川さん。「仙禽(せんきん)」(せんきん・栃木県)、「澤屋まつもと」(松本酒造・京都府)、「醸し人九平次」(萬乗醸造・愛知県)などが台湾人客に特に人気で、日本人の日本酒ファンと同じように、かなりコアなファンが多い。中にはスーツケースに20本近くまとめ買いしていく台湾人客もいるという。

これらの外国人客の中には、日本酒の銘柄も値段の相場もよく分からないというビギナーもいる。だが、店内に設置された角打ちコーナーで、自分好みの酒を見つけることができるので好評だ。

これは最大12人が楽しめる立ち飲みスペースで、新型コロナウイルスが広がる前までの土日は終日満席、平日でも夕方に近づくにつれて客で埋め尽くされていた。人気の「新入荷・限定日本酒 選べる3種飲み比べ」(3杯1500円、税込み)は約25種類の中から3種をセレクトして味比べできる(日によって酒の銘柄は変わる)。そのうち約10種は店内で購入することも可能だ。

店で購入できないけれど、角打ちでしか味わえない貴重な酒(「黒龍」の「火いら寿」「龍」「しずく」の3種飲み比べなど)もあり、日本人のファンにも好評だ。

「外国人のお客様向けには角打ちの楽しみ方の英語版の説明POPも角打ちカウンターに表示しています。角打ちでの感想をうかがい、味わいや香りなどのお客様の好みを確認しながら、多言語でお薦めしています」と大川さん。

さらに外国人客の購入にはできるだけ火入れ(加熱処理)した酒をお薦めしているのがポイント。保管が難しいフレッシュな生酒は帰国後、全く別の味に変化してしまうこともあると説明し、できるだけ店で味わってもらっている。

大川さんは入社5年目。それ以前も飲食業で日本酒を扱ってきた。最近の人気の傾向を彼は次のように捉えている。「日本酒の味わいが幅広くなってきている中、より個性を求めて、蔵付き酵母による自然発酵や、昔ながらの生酛(きもと)造り、ステンレスでなく木桶(おけ)での仕込みなど、より自然な製法に注目が集まっています」

低アルコール日本酒も最近、人気が高まってきていると大川さんは話す。国内外でワイン好きが日本酒を楽しむようになってきたので、ワインと同じくらいの度数(12%前後)の日本酒が増えている。しかも低アルコールなのに意外とコクがあって、味わい深いものも増加中だ。

「当店の女性客は30~40代がメインなのですが、こういった女性の飲み手が確実に増えてきていると日々感じます」と大川さん。彼女たちにはワイン酵母を使って醸したものや、白麹(こうじ)で醸してクエン酸を高めたものなど、酸度の強い日本酒も人気だ。オシャレな洋食にも合わせやすいからだという。

ワインやウイスキー、クラフトジンも人気

日本酒以外の国産アルコールの人気も見逃せない。例えば国産ウイスキーは15~20種類をラインアップ。「『山崎』『響』『竹鶴』などの銘柄が入手困難になっているので、それ以外の日本のウイスキーが高価でもよく購入されます」(大川さん)

さらに人気が急拡大しているのが国産クラフトジン。3年前は2~3種類しかそろえていなかったが、現在は20~30種類あり、すべて国産だ。日本酒「風の森」を醸している油長酒造(奈良県)が製造しているジン「KIKKA GIN」が特に人気だという。

約100種類そろえる焼酎は樽(たる)で熟成させた風味豊かなものが外国人客には人気だ。「『まるでウイスキーみたい。いや、それよりおいしいかも』と購入していくウイスキー党もいる」(大川さん)という。

大川さんたちは「外国人観光客がいつ頃戻るのか、日本人客の消費はいつ回復するのかが今の課題ですが、今後、外国人スタッフをもっと増やし、外国人対応に向けて体制を整えていく予定です」と前向きな姿勢は崩さない。

世界中で日本酒がワインに負けず劣らず主流となるレストランも増えるだろうと大川さんたちは信じている。そのためにも日本人向けはもちろん、外国人向けにも日本酒セミナーなどを定期開催していく。蔵元を呼んで、時には幻の酒もふるまい、英語版と中国語版のイベントを隔月で交互に開催していく予定だ。

今年初夏からは店舗で試飲や酒の品定めをして、そのまま海外へ4~6本セットで発送できる物流システムも始める予定だ。国内外の日本酒ニーズを常にキャッチしながら、大川さんたちは東京から世界へ向けて、日本酒のベストチョイスと文化の普及に取り組んでいく。

(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)

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