深夜勤務や管理職…働く女性の壁は多かった

何事にも果敢に挑もうとしたが、法律に阻まれた面もあった。99年に法律が改正されるまで、女性社員の深夜勤務は原則制限されていた。JR東は24時間体制で、複雑な勤務体系が組まれている。早朝、夜間、泊まり、というローテーションを回すのだ。しかし、女性社員という理由で深夜勤務はかなわなかった。

渋谷駅の副駅長に、部下との関係学ぶ

2001年には渋谷駅の副駅長に就いた。当時の1日平均の乗車人員は42万人強で、新宿、池袋についでJR東の駅では3位。渋谷駅のナンバーツーとして約170人の駅員をまとめた。安全第一を是としているため、何かあれば、素早く情報を収集し、的確で迅速な判断が求められる。

早く部下と親しくなりたいと、「今晩ご飯にでも行かない」と気軽に声をかけたが、「何か怒られるのですか」と警戒された。気さくで明朗快活な人柄だが、知らないうちに高圧的に接していたのかもしれない。管理職になりたての頃、上司から「細部にこだわらず、もっと俯瞰(ふかん)的に物事を見たらいい」とアドバイスされた。キャリアの階段をあがる度に目線を上げ、全体を見渡しながらの判断を迫られる。マネジメントは難しい、部下との関係を試行錯誤しながら学んだ。

「渋谷駅では多くの経験をし、勉強になった」と振り返る。ICカード乗車券の「Suica(スイカ)」が登場、埼京線の延伸、山手線に幅広の新型車両が導入される、などの対応に追われた。駅構内の人の流れが大きく変わる。「チャージの仕方が分からない」、「どこをタッチするのか」とスイカを使い慣れない人から次々苦情が来る。息つく暇もない日々が続いたが、入社3年目の女性社員と泊まりで一緒になったとき、「仕事について素直に語り合え、楽しかった」と話す。

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント
注目記事
次のページ
「大人の休日倶楽部」でシニア開拓