N
NIKKEI STYLE キャリア
いきいき職場のつくり方

2020/2/8

いきいき職場のつくり方

産業医に求められる役割も時代ともに変化しています。以前は物理的な労災を予防する仕事が多かったのですが、最近は長時間労働やメンタルヘルス不調などへの対応も大きな部分を占めています。

2018年に成立した働き方改革関連法により、19年4月から産業医の権限と機能が強化されたことは象徴的です。

従業員の「時間外・休日労働時間」、すなわち残業時間が1カ月あたり80時間を超えた場合、産業医への情報提供が企業に義務付けられました。また、それまで1カ月の残業が100時間を超えた場合、従業員からの申し出があった際、産業医による面接指導が義務付けられていたのですが、この要件が「月80時間超」に引き下げられました。

脳梗塞や心筋梗塞などが生じる「過労死ライン」とされる残業時間は月100時間。厚生労働省の認定基準は「発症前1カ月間におおむね100時間、または発症前2カ月間ないし6カ月間にわたって1カ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」としています。企業がこうしたリスクを放置すると、「安全配慮義務」を怠っていたとして責任を問われる可能性があります。

面接指導の目的は過重労働による健康障害リスクを低減することにあります。勤務状況や疲労の蓄積、心身の状況を確認するとともに、生活改善を指導するほか、企業に従業員の状況を報告、改善のための対応策を助言します。

面接指導のほかに、任意の健康相談もあります。私の場合、非常勤の嘱託として幾つかの企業で産業医を務めているため、毎月の衛生委員会でそれぞれの企業を訪れる際に、従業員の健康相談に応じています。相談のうち2割は生活習慣病やその他、8割はメンタルヘルス不調といったところです。

次のページ
産業医と主治医の意見が違ったら…
ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら