2020年が就職活動の本番となる後輩たちに、これだけは伝えておきたい――。春の入社を待つばかりの内定者4人が、自分の経験から得た気づきや反省を語り合った。決して順風満帆とは言えないストーリーは、就職を考えるU22世代一人ひとりへのヒントが詰まった「お年玉」だ。前編は数カ月前に終えたばかりの就活の実体験を中心にお届けする。(司会はU22編集長・安田亜紀代)
Aさん 明治大学4年の女子学生。広告制作会社へ就職予定。
Bさん 都内私立大学院2年の男子学生。大手メーカーへ就職予定。
Cさん お茶の水女子大学4年。金融系へ就職予定。
Dさん 法政大学4年の男子学生。証券会社へ就職予定。
――皆さん受けた企業数は多い方ですよね。たくさん受けた方がいいのでしょうか。
Cさん 私は50~60社にエントリーして、約30社で面接し、内定は8ついただきました。幅広くみたうえで考えるのが私の性格にあっていたので、たくさん受けたのは間違いではなかったと思います。ですが、最終的に働く会社はバイキング料理のように色々選べるというわけではないんですよね。私の企業選びの軸足は業界ではなかったので、内定先はメーカーからIT、金融まで様々。どこを優先順位にしておくかをもう少し考えておくべきだったなと思っています。
Bさん 僕の就活は長くて、10カ月ぐらいずるずるとやってしまって、結果的に約40社にエントリーし、6社から内定をもらいました。やはりバイキングではなくて「この1品」を選ばないといけないのが就活。グローバルとか社会貢献とか色々考えましたが、具体的にどう優先順位をつけていくか、最初は考えが足りなかった。漫然と説明会に行って、いい企業だなあと思って帰るけれども、結局は自分に何ができるんだろうって悩んでしまう時期がありました。
Dさん 僕は50社くらい受けて、選考まで進んだのは30~40社。金融・不動産・人材の3本柱でした。これまで何のために勉強を頑張ってきたのかと、思いっきり大企業をめざしました。
Aさん 私はたくさん受けて悩むのが嫌だったので、広告系を中心に10社くらい受けて、内定は3つ。大きな説明会には行ったことがないし、大学のキャリアセンターにも1回も行っていない。でも納得度は高くて、内定先と心の中の条件が合っていたんだと思います。
心の中の優先順位を明確に
――「心の中の条件」というのは。
Aさん 会社の人には言わないですけど、給料も平均より少し高くて、東京で働けるし、福利厚生も最低限は担保されていて、かつ、やりたい仕事ができる、というようなことですね。
Cさん 私は大学3年の4月から就活を始めて、比較的長かったので色々な情報が入ってきて、その結果、心の中の条件を作りすぎちゃいました。欲しいものがどんどん増えていった。最初は内定が欲しいということから始まって、次は転勤したくない、給与は高い方がいいとか。そのうち海外にも行ってみたいとか、海外研修制度っていいなとか。どんどんぶれてしまいました。
――心の中の条件を作りすぎるとどんなデメリットが?
Cさん 内定先を選べなくなってしまったのが最大のデメリット。たくさん条件があると、それをどう点数化したらいいのかわからなくなって、企業を絞れなくなったのです。
――結果的には働く環境を重視したんですね。
Cさん そこにはワナがあって、企業側は働く環境について本当のことを言ってくれるわけじゃないんですよね。転勤がないと人事が説明会で話していても、先輩からは「転勤あるよ」と言われたり。私は(転勤を想定しない)エリア総合職と、普通の総合職で迷っていて、金融の会社はどこも「両者は給与も仕事内容も同じ」って説明しているのですが、実際に社員から話を聞いてみると違うことがわかって驚きました。会社側が用意した座談会で社員の本音を聞けたつもりになっていると危ないなと思ったので、自分から社員の方にアポイントをとって、味方になって話してくれる人を見つけるようにしていました。
Bさん 説明会の内容って、自分で足を動かしてOBに確認してみないとわからないところがあります。