2020/1/10

視点の転換で大学の授業への取り組み方も変わる

森さんは、大学入学直後から居酒屋でアルバイトをしていました。目的は、アルバイトでお金を稼ぐことでした。しかし、あるとき「このままアルバイトを続けていてもいいのか? 自分のためにならないかもしれない」と感じたようです。

そこでまず選んだ行動は、「アルバイトを辞めること」でした。それから、「自分は何に興味があるのか、何をやりたいのか」をじっくりと考える時間を持ったそうです。そこで自分のためにインターンに挑戦することを決めたと言います。

「何もわからないから、なんでも吸収してみる。なんでもやってみる、ということで、インターンをスタートしました。広告代理店のインターンでは、制作と企画に携わり、商品購入ページの作成も行ったり、その都度、社員からフィードバックをもらったりして経験値をあげていった」

そこで大きな学びとなったのが、「ユーザーの生の声を聞く」ことの大切さでした。それに気が付いてから、森さんが、大学の学びが180度変わったと話してくれます。

その言葉を私が言い換えるなら、森さんに起きたことは、「視点の転換」だと言えるでしょう。講義をただ座って聞くのではなく、自分ならどのような講義をするだろうか、と考える。グループワークに参加するだけではなく、どうしたらより良く議論を展開できるだろうか。大学に通う毎日も、発見の連続になるのです。

卒業を前にした松尾さんと森さんが教えてくれるのは、次の3点です。

(1)やりたいことが何も決まっていないから、悩み立ち止まるのではなくて、まずは、動き出してみることの大切さ。

(2)インターンでフィードバックをもらいながら、自分には何が向いているのか。どんな仕事が好きなのか、没頭できるのかを現場で学び続ける。

(3)ビジネスシーンで必要なことが明確になり、知識や情報が不足していることを痛感することで、大学での学びに、より真剣に向き合うことができるようになる。

なんとなくアルバイトなどを継続して、そのまま就活を迎える学生よりも、松尾さんや森さんが2歩も3歩もリードしていることがよくわかるでしょう。

私が伝えたいことは、2年生のうちにインターンをしましょう!ということではありません。高校生までの「受け手」の学びの延長に大学生活を位置付けるのではなくて、答えのない問いにも果敢に挑戦していく、「作り手」側へと変身する経験を自ら選びとってほしい、ということです。

大学2年生のときにこうしたギアチェンジができているかどうかが、その後に大きな影響を及ぼしているのです。大学3年生になると、どうしても卒業後の就職先のことをリアルに考えるようになります。就職活動を全く無視して何かに挑戦するというわけにはいきません。

別々に実施したインタビューでしたが、2人が共に口にした言葉があります。「大学2年生が、転機だった」と。

田中研之輔
1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を14社歴任。著書に『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP社)など。

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