法政大学キャリアデザイン学部でキャリア論を教えている田中研之輔です。今年は東京五輪が開かれる節目の年。日本の歴史に刻まれる瞬間となるでしょう。私は10年以上教員をしているなかで、皆さんの大学生活においても「節目」というものはあると思っています。言い換えると成長の瞬間です。今回特に読んでほしいのは、大学1~2年生の皆さんです。
私のゼミの初期メンバーは、もう大学を卒業して10年が経過しています。若手から中堅の時期に差し掛かり、それぞれの業界で活躍しています。皆さんの先輩たちが大学で出会い、学び、成長し、社会に出て活躍する姿を見てきて、今、どうしても伝えたいことがあるのです。
大学2年生の1年間の過ごし方が、その後の成長において極めて重要である、ということです。
大学の1年目は、横一線です。入試経路が同じであれば、学力は似通っています。しかし、4年後の「結果」が全く違ったものになります。
なぜだと思いますか? 大学生活をどう過ごしたのか、どう生かしたのか、が違うのです。
大学の「入り口」である「入試」や、「出口」である「就職」は、よく話題に上がりますが、大学での4年間の過ごし方や生かし方は、あまり触れられません。その理由は、外からは見えにくいですし、結果として現れにくいからです。
その過程を捉えるべく、「大学でどう過ごすと、いかに成長するのか」について、卒業を控えた4年生2人にインタビューを行い、振り返ってもらいました。この2人は、大学1年生の時から知っていて、学びの過程をみてきました。4年間で見事に成長して、それぞれ第1志望の企業から内定をもらい、今卒論執筆に打ち込んでいます。
2人を選んだ理由は、顕著に成長した学生のモデルになるからです。教員の立場からすると、この2人のように成長していく学生を1人でも多く輩出していきたいのです。
大学2年で「自分の市場価値」を知ろうとした
1人目は、松尾和哉さんです。「他の学生と同じで、強みがなかった」と振り返る松尾さんは、大学入学当初、時給1000円程度で塾講師をしていました。