若手の意欲引き出すリーダーの進化系 「ヨコ型」とは『チームを変える習慣力』 三浦将氏

 転職を見据えた部下側にとっては、傾聴力を持たない上司は尊敬すべきリーダーとみえにくい。チームビルディングがうまくないリーダーの下では、十分な成長機会を得られないと見切って、他社に転じるのも、キャリア戦略としては選択肢に入ってくる。同じ勤め先に居続けること自体が将来のリスクをはらむということを、今の20代は理解している。「耳を傾けないリーダーは、愛想を尽かされるだけではなく、転職という形で見捨てられる危険も抱え込んでいる」という。

 「ヨコ位置」のポジションを取れるようになると、チームビルディング以外のプラスもある。勤め先の内外に人的ネットワークを広げやすくなり、多くの人から力を借りられるのは、大きな利点といえる。タテ型では直属の部下しか動かせないが、ヨコ型は「社外チーム」との連携が可能になる。別の勤め先に移る場合でも、こうしたつながりからチャンスをもらえる期待が持てる。「定年が延びる流れのなか、第2、第3の勤め先を得るうえでも、すぐにチームに溶け込めるヨコ型キャラクターに変化しておきたい」(三浦氏)

「上司」という呼び名が誤解生む

 ただ、ヨコ型の長所を頭で分かっていても、いったん握った地位や権限を手放すような錯覚にとらわれて、多くの上司がタテ型から変われずにいる。三浦氏は「自分だけでは結果を出せないという、一種のあきらめを持つべき時期に来ている」とみる。残業やリモートワークといった制度面の「働き方改革」にとどまらず、「個からチームへ」という、もっと本質的な働き方改革が進んでいて、「この変化に乗り遅れると、リーダーの座すら失いかねない」。

 70歳現役を実現するには、「成長を続けるしかない」と、三浦氏は指摘する。部長級になって、次の「あがり」を待つキャリア戦略はもう通用しない。成長を助けるのは、ポジションにふんぞり返る態度ではなく、「ヨコ型」のスタンスで常に刺激とチェックを受ける環境だという。ヨコ位置でチーム成果を引き出すスキルが備われば、「複数プロジェクトの総合プロデューサーのような立場で、様々なチームに貢献できる」(三浦氏)。年齢を重ねても、ビジネスの第一線に立ち続けている人にはこうしたケースが珍しくない。

 「そもそも『上司』という呼び名が誤解を誘いやすい」と、三浦氏はみる。上から指導するといった、古いイメージを印象づけるからだ。「リーダー」はいくらか上下感が薄いものの、「チームを引っ張る」という別の誤解を招きがちだ。「傾聴する」という新たなリーダーにしっくりなじむ言葉がまだ見当たらないのは、上司像の過渡期だからかもしれない。

三浦将
チームダイナミクス代表取締役。人材育成コンサルタント、エグゼクティブコーチ。英国立シェフィールド大学大学院修了(理学・経営学修士)。広告会社、外資系企業を経て独立。リーダーシップやチームビルディングの研修、人材育成のコンサルティングを手がける。著書に『自分を変える習慣力』『相手を変える習慣力』など。

チームを変える習慣力

著者 : 三浦 将
出版 : クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
価格 : 1,628円 (税込み)

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