若手の意欲引き出すリーダーの進化系 「ヨコ型」とは『チームを変える習慣力』 三浦将氏

「やらされ感」からの脱却

「リーダー力強化とチームビルディングは今や、企業の最重要テーマになりつつある」と語る三浦氏

 ヨコ型のメリットはいくつもある。チームメンバーが上司の一挙手一投足におびえずに済むので、それまでは提案を見合わせていたような、自由な発想を口に出しやすくなる。建設的なアイデアが増えれば、チームパフォーマンスの向上が見込める。つまり、上司も恩恵にあずかれるわけだ。「部下のためと考えなくても、上司本人にうまみがある」(三浦氏)

 指示を受けるだけの立場では、「やらされ感」が募りやすい。資質を十分に発揮できないだけではなく、やがて別の居場所を求めて、チームを去ってしまうという人材流出にもつながりかねない。「今の若い働き手は自分の成長可能性が感じられないと、職を離れる判断を選びやすい」(三浦氏)という。

 ヨコ型に移行するうえでは、チームメンバーへの共感とリスペクトが欠かせない。メンバーそれぞれが異なる資質を持ち、それらを引き出すことによって、チーム全体で導く成果が大きくなるという意識を持つのが「これからのリーダーの必須要件」となる。ヨコ型を採用しやすい職場に病院があると、三浦氏はいう。医師のほか、看護、介護、検査、相談など、患者を支えるには様々な職種からのサポートが必要になる。「医師1人ではどうにもならない。必然的にヨコ型チームが組み上がる」

最初から結論を示さない

 「脱タテ型」を目指そうと思ったら、まず何から始めたらよいのか。三浦氏が勧める、割と試しやすそうな第一歩は「他人の話をよく聞く」だ。部下の提案・報告を話の途中でさえぎって、「そんなことはいいから、こうやれ」と命令してしまう上司がいる。これでは部下は次から指示を待つようになってしまう。自分の考えを言っても無駄だと思い知ったからだ。以後は面従腹背の関係が続くだろう。

 三浦氏は「上司が最初から結論を示さない」という心得も提案する。まずはじっくり部下の話に耳を傾け、その意見を生かす方向で、自分の見方を言い添えるほうが部下の納得感は高まり、業務にも進んで取り組みやすくなるという。せっかちな上司からすれば、話を聞かないのは時間を有益に使うためかもしれない。しかし、腰を折られた部下は「自分そのものが否定された」と受け止めがちだ。リーダーとの信頼関係は築きにくくなってしまう。

 同じ勤め先で一生ずっと働き続けるのであれば、上司の顔色をうかがうのも、「処世術として意味のある選択肢だった」(三浦氏)。しかし、今の20代には同じ場所で勤め上げる意識は薄い。だから、必ずしも上司の指示を丸のみするわけではない。未熟な意見も含め、自分の考えを述べたがる傾向がある。タテ意識に慣れた上司は、これを「反発」「生意気」と受け止めがちだが、「意見を封じ込めてしまうのは、貴重な新発想の芽を摘んでしまううえ、反発心の種をまきかねない。『とりあえず言ってみろ』ではなく、傾聴するという態度で向き合いたい」(三浦氏)

ビジネス書などの書評を紹介
次のページ
「上司」という呼び名が誤解生む
ビジネス書などの書評を紹介