転職の理想的タイミング 5歳刻みの「常識」は本当?経営者JP社長 井上和幸

「意に沿わない異動」の真の理由を確認する

ところで、現社における、その意に沿わない異動の原因はなんだったのでしょう? それによっては「ちょっと待って」です。

例えば、自分の専門畑と思ってやってきたこの数年来の職種があるとして、その期間中の成果はどうでしたか? 営業マネジャーとしてチームを5年率いたが、その間、チーム業績達成率が平均80%以下で一度も100%以上達成をできなかった。経理財務のマネジメントとして7年が経過したが、メンバー時代のルーティンを回し続けているだけで、なんらの業務改善・改革の動きをされていない、などは評価されにくい結果と映ります。

厳しい話ですが、現社から「これはこのまま続けさせても難しいな」「別の役割を探させたほうがよさそうだ」という「職種の不適合」を突きつけられての異動であった場合、いくら転職で元の職種に戻そうとしても、それはハッピーなこととは言い難いでしょう。それなりの人がしっかり経歴実績を見ると、そこはバレてしまいますから、応募先で採用されることも難しいと思われます。

この場合は転職の前に、まずしっかり今の会社で「別の道」への少なくとも兆し、取っ掛かりを見いだすまで奮闘しましょう。強みがない、不明瞭なままでの転職ほど危険なことはありません。

上司、同僚との意見の衝突や人間関係的な折り合いの悪さからの転職を検討される人も、悲しいかな、非常に多いです。「何をやるか」と同じくらい「誰とやるか」は大事です。カルチャーフィットは我々も転職支援で非常に注視するところです。

ですから、パワハラや納得しがたい上司の判断環境などから離脱することも、私は積極的に取り組んだほうがよいとお勧めします。自分らしくハッピーに働けない環境に居続けることほど不幸なことはありませんから。

ただ、念のためご確認ください。第三者的な視点で俯瞰(ふかん)してみて、あなたの意見に十分な納得性、転職応募先企業のトップなどが聞いて「なるほど」と腑に落ちる理由があるでしょうか。そもそも現職で、まずしっかりその対立に向き合った上での結果と判断でしょうか。

怒りに任せた「不満転職」は繰り返しがち

これも「あるある」なのですが、上司との折り合い、会社の判断・方針への違和感を訴える人の話を整理してみると、「それは社長は、ダメだと言いますよね」「それは事業のことを考えても、通らない意見じゃないですか」という、転職しようとしている当人側に非があるケースも、実は結構多いです。

こういう人が、そのまま転職すると、次の会社でもまた同じような理由で上司との折り合いや会社への違和感を訴え転職します。職歴を見れば、このタイプの人たちは、私からは分かりますし、正直、そのまま転職を支援することはためらわれます。

瞬間湯沸かし器のような感じで「転職だ!」と動く人もいますが、ここはいったん冷静になって、感情的に「幽体離脱」してみて、あなたと相手(上司、会社など)との双方の言い分を整理してみましょう。そのようにして再度見てみれば、今の会社や職場は、実は世にある数多(あまた)の会社や職場の中でも結構いい場、恵まれた環境かもしれませんよ。

私が転職を支援している理由は、「社外異動」こそを推奨、推進したいからです。プロジェクトを完了した、やり切った。ジョブローテーションの時期がやってきた。そうしたタイミングに検討する「社外異動」こそ理想の転職であり、「社外異動」時期こそが理想の転職タイミングだと思います。

40代、50代は、一方では介護問題やお子さんの社会人独り立ちなど、家族事情や環境の変化で転職を考えるタイミングも巡ってくる時期です。今がそうでなくとも、いざという時のために、自身の仕事の軸を棚卸ししておくことをぜひお勧めします。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。
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