手のひらサイズのモバイル「UMPC」 ブームの兆し
画面が9型以下でウィンドウズ10が動く超小型ノートパソコンのことを「ウルトラモバイルパソコン」(UMPC)と呼ぶ。スーツの内ポケットに入る大きさながら、携帯ノートパソコンのように活用できる。最近になって中国の新興メーカーから新製品が続々と発売され、日本国内でもパソコン愛好家の中で隠れたブームになっている。
超小型ながらパソコン用のアプリがそのまま使えるのがUMPCの魅力だ。キーボードを搭載し、スマホやタブレットに比べて文字入力もしやすい。おもちゃのようにも見えるが、金属製のボディーの製品もあり質感は高い。
ほとんどが高解像度画面を採用しているので、文字も潰れずに表示できる。性能は下手なノートパソコンよりも高い。ベンチマークテストでは、コアi5を搭載する5年前の「サーフェスプロ3」よりも結果が良かった機種もある。ストレージはソリッド・ステート・ドライブ(SSD)やeMMCを搭載しており、ウィンドウズをストレスなく操作できる。画面を折り返してタブレットのように使える機種もある。USB端子などを備え拡張性も高い。
現在販売されているUMPCは中国メーカー製のみ。とはいえ国内の販売代理店が扱っている製品なら、日本語によるサポートも受けられ、家電量販店でも購入できる。価格は5万~10万円程度だが、開発や製造に必要な資金をネットで事前調達する「クラウドファンディング」を実施しているメーカーも多く、それを利用してお得に購入できることもある。
キー入力がしやすい2イン1モデル
「OneMix3」(ワンネットブックテクノロジー)はCPUにコアm3、ストレージに基板タイプのSSDを搭載し、メモリーは8ギガと多い。タッチ対応の画面を360度回転させて、タブレットのようなスタイルでも操作できる。キーボードはキーピッチが広く打ちやすい。
質感の高い金属製ボディーが魅力
「GPD Pocket2」(シンセンGPDテクノロジー)は7型の液晶を採用。ボディーに肉厚の金属を使い、手触りが良い。USBタイプA端子を左右側面に備え拡張性が高い。ポインティングデバイスが右側にあり、両手で持った際、親指で操作しやすい。
USBが多く有線LANも装備「GPD MicroPC」
「GPD MicroPC」は小型携帯ゲーム機とほぼ同じ大きさ。重さは500グラムを切る。有線LANやシリアルといった端子も備えるのが珍しい。画面は6型と小さく、ほかのUMPCと比べると解像度も低いが、小さい文字でも認識しやすい。キーは小さいもののタッチパッドを右側、マウスボタンを左側に備えており、両手で包み込むように持ちながら左右の親指で操作しやすい。
今後も魅力的なUMPCが続々登場
チウェイ・イノベーションの「CHUWI MiniBook」はクラウドファンディングで出資を募っていたUMPCで、間もなく出荷が開始される。日本語配列のキーボードも用意されており、日本国内での発売も想定している。
シンセンGPDテクノロジーは「GPD P2 MAX」を発売する。8.9型でUMPCとしては若干大型だが、上位モデルは16ギガのメモリーと512ギガのSSDを搭載しており、性能を強化している。
(注)掲載した価格は9月上旬に取材した時点のもので、特別な記載がない場合、消費税を除いた税別価格です。税込み価格の場合の消費税率は、記事執筆時点の8%となります。
(ライター 田代祥吾)
[日経PC21 2019年11月号掲載記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界