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ハーバードが学ぶ日本企業

宇宙の掃除に金が集まる ハーバード注目の日本発VB ハーバードビジネススクール教授 ラマナ・ナンダ氏(上)

2019/10/7

アストロスケールを起業した岡田光信CEO

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。2人目は、日本人起業家が設立した宇宙ベンチャーに関心を寄せるラマナ・ナンダ教授だ。

(下)大企業イノベーションが日本の源泉 ハーバードの視点 >>

佐藤 「アントレプレナー・ファイナンス」はハーバードビジネススクールの2年生の約1/3にあたる270人が履修している人気講座です。ナンダ教授はこの授業で、2013年に日本人起業家が設立した「アストロスケール」の事例を取り上げているとうかがいました。アストロスケールは、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業です。なぜこの企業に注目したのですか。

ハーバードビジネススクール教授 ラマナ・ナンダ氏

ナンダ 「アントレプレナー・ファイナンス」では主にスタートアップ企業の資金調達について教えています。どの投資家、どの企業から、どのような条件で、いくら調達すればいいのか。これはスタートアップ企業にとっては、その後の生存・成長に影響を与える最も重要な問題の1つです。

講座の前半では、既存の枠組みの中で新規事業の創出に挑戦している企業、後半では全く新しい分野でビジネスを立ち上げようとしている企業、たとえば、ブロックチェーン(ビットコインなどの暗号通貨に用いられる基盤技術)、ハイパーループ(真空状態のチューブを用いた高速輸送システム)などの事例を取り上げています。

■一線画す宇宙ごみ除去での起業

私はずっと、この後半で宇宙事業に挑戦している企業の事例を教えたいと思っていました。近年、この分野には数多くのイノベーションがうまれていますし、新しいスタートアップ企業も次々に設立されています。その中で特にアストロスケールという会社に魅かれたのは、他のスタートアップ企業とは一線を画す存在だったからです。宇宙観光、小惑星での資源採掘、ロケット打ち上げ、衛星打ち上げなどを事業とする企業はありましたが、「宇宙のごみを清掃する事業」で起業した事例は初めてでした。

宇宙には「コモンズの悲劇」(誰でも自由に利用できる共有資源が、管理者が不在であるがゆえに、過剰に摂取され資源の劣化が起こること)という現象が見られます。地球の国々から見れば、宇宙は共有地。そこにごみがたくさんあるからといって、清掃するためにどの国も企業もお金を支払いたがりません。それを営利の事業にしようとしているのが、アストロスケールです。ではそれをどのように事業として成り立たせるのか。どうやって資金を調達するのか。とても興味があったので、自ら教材を書き、授業で教えることにしたのです。

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