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ベンツ・ポルシェ…欧州バッテリーEV車、日本に続々

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エンジンと電気モーター両方で走るハイブリッド車ではなく、電気モーターだけを搭載する電気自動車(BEV)が欧州メーカーを中心に続々登場している。なぜ各社はこの分野に力を入れるのか。そして日本市場でBEVはどんな役割を示すのか。自動車ジャーナリストの渡辺敏史氏が解説する。

◇  ◇  ◇

オリンピックイヤーを前に、自動車業界においてはBEV=バッテリーEV車、すなわち純然たる電気自動車のカテゴリーが盛り上がりをみせています。というのも、ここ何年かでアナウンスされていた海外ブランドのBEVが、相次いで日本市場へ投入されているんですね。

今年に入ってまず日本に上陸したのはジャガーの「I-PACE」(記事「ジャガーEV 俊敏に走る都会派SUV 問題は充電環境」参照)。そして7月に日本仕様が発表されたのはメルセデス・ベンツの「EQC」。間もなく日本発表が見込まれるのがアウディの「e-tron」。これらに加えて9月のIAA=フランクフルト国際モーターショーと相前後して、ポルシェの「タイカン」、VWのBEV向けサブブランドとなる「I.D.」の第1弾などがお披露目となりました。

これらはいずれも欧州ブランドの話ですが、じゃあなんで彼らがこんなにBEVに熱心なのかという疑問が湧いてきます。

これには大きく2つの理由が挙げられます。

大気汚染解消のシンボルとして

まずひとつは足元の欧州で、厳しい二酸化炭素(CO2)の排出量規制が始まることです。2021年以降は販売された全ての新車の排出量平均を95g/km以下に収めることが求められます。超過分には収益を大きく圧迫する厳しいペナルティーが課せられますから、メーカーとしてはCO2排出量をゼロでカウントしてもらえるEVをできるだけ多く売っておきたい。

「いや、EVに充電する電気を作る過程でCO2がじゃんじゃん出るから、ゼロってことはないでしょう」という話もあるにはあるわけですが、現状そこは不問に付されています。

まあ、ノルウェーのように再生可能エネルギーで電気をほとんど賄えるところや、フランスのように原発での余剰電力を有効活用したいところもあり、電力事情はそれぞれです。加えて欧州の都市圏は、現在、古いディーゼル車の排出物が主因とされる光化学スモッグなどの大気汚染が大きな課題となっています。裏返せばBEVがその問題を解決するシンボリックな存在として注目されやすい環境です。

しかし、それらの事象の中で少し目立たなくなっているだけで、CO2の問題は、この先確実に、今以上に重大かつ喫緊な課題として、採り上げられるときがきます。その際にはBEVも「どのように作られた電気で走っているか」という問題、さらには「製造時や廃棄時のCO2負荷はいかばかりか」という指摘も避けることはできなくなっているでしょう。ちなみに車両生産から使用、廃車までの生涯CO2排出量について、いくつかの自動車メーカーはアカデミアなどと共同で試算したデータを発表していますが、最終的な結論は内燃機優位かBEV優位かで割れています。

急激だった中国の姿勢に変化が

環境問題が政治的課題となっているのは中国も同じ。実は欧州ブランドのBEV戦略が活発化した2つめの理由は、その中国の政策によるところがあります。

ご存じの通り、中国の都市部での大気汚染問題は欧州のそれどころではない大変なもの。その主役たるPM2.5は自動車というよりも工場や発電施設などで石炭を多用する、その排出物による影響が大きいのですが、人民はその辺を一緒くたにしつつ、政府への不満を募らせ続けてきました。

そこで中国が掲げたのが新エネルギー車=NEV規制です。

今年導入されたその内容は、各社の乗用車販売のうち10%をBEVやプラグイン・ハイブリッド車=PHEVにできなければ、その充当分をクレジット購入するという実質的なペナルティーが課せられるもの。中国政府としては、この相当強引な規制により、BEVの普及を早めて環境問題への取り組みを人民にアピールすると共に、中国の自動車産業の国際競争力を高めて、あわよくば次世代自動車の覇権を握るゲームチェンジの好機にするという、2つの思惑が込められていたことは言うまでもありません。

欧州ブランド、特にドイツ系は全販売台数に対して中国市場への依存度が3~4割に達しており、商業的に中国の意向は無視できない状況です。鮮明なBEVシフトの背景には、中国のこのNEV規制があることは間違いないところです。

ところがこの7月、当局はこのNEV規制の見直しを図り、BEVやPHEVではない普通のハイブリッド車=HEVへの優遇も検討しているとメディアが伝えました(記事「中国、ハイブリッド車優遇 環境車規制を転換へ」参照)。

価格や実用面でまだまだ課題の多いBEVを強引に大量普及させることは現実的ではなく、それでも環境改善を考えるのなら価格のこなれたHEVに一定のボリュームを担わせつつ、徐々にBEVへと移行するほうが理にかなっているという、クルマ屋的な視点でみると至極まっとうな筋論です。

同時期にトヨタがHEV技術特許の開放をアナウンスしたのは関係あるのかと問われればそこは関係者のみが知るところですが、ただ、この流れはドイツ勢にとっては想定外だったかもしれません。

BEVは二極化へ

今後バッテリー技術やコストのブレークスルーが起こらない限り、BEVのトレンドは二極化が進行していくかと思います。

ひとつは前述のI-PACEやEQC、e-tronやタイカンなど、90kWh前後の電池を積んで2つのモーターでドライブしつつ、400km以上の航続距離を達成するストロング級。もうひとつは1モーターを40kWh級の電池でドライブ、300km級の航続距離を確保するミドル級で、ここには日産「リーフ」やBMWの「i3」、フランクフルト国際モーターショーで発表された「ホンダe」などが該当します。

ストロング級は大量の電池を搭載する前提ですから、比例して車格も大きく、猛烈な加速や低重心ゆえの安定したハンドリングなど、従来の内燃機関のクルマとは異なるドライブフィールを体験させてくれます。ただその一方で価格は1000万円級と、行政の補助金をいただくのも気が引けるプレミアムゾーンです。

ミドル級はソリューションもシンプルで車格も適切です。航続距離も日々の移動として納得できる範囲に入ってきましたし、電池容量的にも現在の平穏な出力の急速充電に見合ったものといえます。価格的にも400万~500万円級。最もベーシックなリーフであれば300万円台前半からと、徐々に求めやすくなってきました。

高齢化社会で求められるBEV

日本の社会状況やエネルギーミックスを鑑みれば、今後求められるBEVは、より軽便で小さなサイズのコミューター的なところかもしれません。

ガソリンスタンドがない、コミュニティバスも走らせられないといった地方の移動困難区域でも、高齢者が自らの意思で移動できる環境をつくる。その手段としての可能性をEVは持っています。ただ既存の電力グリッドへの負荷が小さく、太陽光などの再生可能エネルギーでも必要十分な移動距離が保たれるパッケージを成立させるには、機能を最小限化して電池容量も小さくし、比例して価格も下げるといった努力が必要です。

こういった超小型モビリティに関しては、脱炭素の電動化を前提に経産省が普及のための検討をようやくはじめたところですが、今後は自治体と協力しての購入補助や税制優遇、路上での法規的な保護も考えていかなければならないでしょう。最大のライバルたる軽自動車に比するユーザーベネフィットをどうやって確保するか。難題を解決することは、高齢化が進む先進国の未来の、移動の自由を確保することにもつながります。

普及のタイミングは2025年ごろか

将来的にBEVは運輸部門のCO2排出量抑制の切り札になることは容易に予想されます。そして商品の特性も魅力も徐々に定まりつつもある。

ただし、その調達に化石燃料を用いるのでは本末転倒になってしまいます。まだ考えなければならないことは山ほどある、このような現況下で、すぐにBEVが爆発的に普及すると予測するのは、なんとも拙速な話だと僕は思います。

環境問題と所有の双方に利があることで初めてBEVが普及するなら、それは2025~30年辺りがひとつのターニングポイントではないかというトヨタやホンダの当初からの想定は、ようやく現実解になりつつあるのではないでしょうか。

とはいえ、それはわずか5年向こうの話。この先、続々登場するBEVたちは、確実に未来へと近づいていく一歩になっているはずです。

渡辺敏史
 福岡県出身。出版社で二・四輪誌編集に携わった後、フリーの自動車ライターに。主な著書に、2005~13年まで週刊文春に連載した内容をまとめた「カーなべ」(上下巻、カーグラフィック)。

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