iPhone 11私が感じた魅力と不満 専門家3人が検証

佐野氏:攻めた「サービス」、ハードはインパクトに欠ける

2019年の新iPhone3機種の発表内容を見て感じたのは、順当に進化しているものの業界をリードするインパクトに欠ける、というものだった。

イベントに登場したティム・クック最高経営責任者(CEO)

iPhone 11がデュアルカメラ、iPhone 11 Pro/同MaxがiPhone初のトリプルカメラ構造を採用し、前機種と比べカメラは大きく進化した。加えて新しい「A13 Bionic」の搭載で一層高い性能を実現するなど、着実に進化を遂げているのは確かだろう。

だがトリプルカメラは、既にライバル他社のスマホが先行して採用しているもの。チップも各社とも進化を競っており、アップルの独自性は薄れてきている。それだけに今回の新iPhoneでは、今後のスマホのトレンドをリードするであろう機能が見当たらず、トレンドリーダーとして君臨してきたアップルの地位が危うくなりつつある印象を受けたというのが正直なところだ。

一方で元気の良さを感じたのが、新iPhoneと同時に詳細が発表されたゲームの定額サービス「Apple Arcade」や動画の定額サービス「Apple TV+」などのサービス群である。いずれも月額600円で、多数の高品質なゲームや映像コンテンツを楽しめる。月額1000円前後の動画サービスが多い中、攻めた価格設定で顧客獲得を推し進めようという、意欲的な様子を見て取ることができた。

そうしたことから今回のiPhoneは、ハードウエアの販売低調が続き、サービスへの注力で売り上げを拡大しようとしている、アップルの現在の姿を表しているともいえる。ハードウエアの革新的な進化を期待するなら、5G対応が始まる可能性が高い2020年の新機種を待つべきなのかもしれない。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。NIKKEI STYLEに「佐野正弘のモバイル最前線」を連載中。
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