出世ナビ

デンシバ Spotlight

遠隔手術、外科学会が検討着手 地域格差の是正に期待

2019/9/10

「ダビンチを遠隔手術に使う場合、例えばこんなイメージだ。東京都内と患者がいる離島の病院にそれぞれダビンチを置いて通信回線で結ぶ。都内の病院に外科医を1人、離島の病院にも担当医師(執刀医)を1人それぞれ配置する。手術は原則として離島の医師がコンソールで行う。ダビンチは複数のコンソールの切り替えができるので、必要に応じて都内の医師も手術に参加する。原則として都内の医師は、離島の執刀医の指導および補助の役目を担うが、役割が逆になる場合も想定している。現在の外科手術では手術台に医師が3人程度つくが、遠隔手術の場合は現地の医師は2人もしくは1人で済む可能性がある」

「離れた場所にいる医師が同じ画面を見ながら手術に臨めるため、例えば、東京の医師が手術の難易度の高い部分を担当し、現地の若い医師に指示しながら手術を進めるといった運用も可能だ。こうすることで若い医師がベテラン医師の指導を受けながら手術を担当する。研修医が地方に行きたがらないのは、経験できる症例が少なく手術などの腕が磨けないと考えることも大きな要因だ。遠隔手術で経験が積めるようになれば、地方に行くのをためらう人も減るのではないか」

――どのような種類の手術が遠隔でできるのでしょうか。

「大腸がんや胃がん、前立腺がんといったダビンチで手術ができるものの多くは可能であると個人的には考えている。こうした手術は患者の数も多いので遠隔手術を活用する意味は大きいだろう。もちろんすべての手術が遠隔で可能ということはない。脳外科とか心臓、肝臓などの手術は手術自体の難しさに加え、術後管理が非常に重要なので、遠隔手術ではなくて体制の整った病院で手術・入院するのが望ましい。対象となる手術の種類は今後指針を作る中でコンセンサスを得ていく」

――遠隔手術の臨床研究はどのように進めますか。

「日本外科学会の検討委員会にも参加している九州大、北海道大、弘前大、鹿児島大の4大学が手始めとして協力して遠隔手術の実施が可能か、検証を始めることを目指している。これらの大学は診療地域が非常に広かったり離島を抱えていたりで、遠隔手術への関心が高い。学会の指針がまとまり次第、まず動物を使った遠隔手術を、たとえば北海道と九州を結んでやりたい。安全性の確認はもとより、通信手段の問題など課題は多いが、1つずつ解決しながら、患者を対象とした遠隔手術の臨床研究に進められれば良いと考えている」

(編集委員 吉川和輝)

商品企画・プロモーション・マーケティング基礎講座/日経ビジネススクール

マーケティングの基礎を学ぶ講座から、企画・戦略の立案に役立つ実践講座まで!

>> 講座一覧はこちら

出世ナビ 新着記事

ALL CHANNEL