遺伝子パネル検査の保険適用とあわせて、患者の遺伝子情報を本人の同意を受けた上で、収集・データベース化することになりました。この情報は新薬開発などがん研究に役立てられることになっています。

佐々木毅・東京大学特任教授「患者にとって新たなチャンス」

本格的に始まるがんゲノム医療によって、患者にどのような恩恵が期待されるのか。従来の遺伝子検査を伴うがん医療とどんな違いがあるのか。日本病理学会理事で東京大学ゲノム病理標準化センター長を務める佐々木毅・同大学特任教授に聞きました。

――がんゲノム医療のための遺伝子検査が公的医療保険の適用になり、検査を希望する患者が増えそうです。

佐々木毅 東京大学特任教授

「『がん遺伝子パネル検査』と呼ばれる、100以上の遺伝子変異を一度に調べられる遺伝子検査が6月1日から保険診療として受けられるようになった。今回保険適用となったのは国立がん研究センターなどが開発した『NCCオンコパネル』と、中外製薬が販売する『ファウンデーションワン』の2つ。検査の公定価格はいずれも56万円で、患者負担はこの1~3割程度になる。こうした検査は従来、先進医療制度などを使って一部で実施されていたが、患者の負担が数十万円に上っていた。保険適用になったことで患者の負担額はかなり軽減される」

「検査ができる医療機関は、現在11カ所ある『がんゲノム医療中核拠点病院』と、9月をメドに新たに30カ所余りを認定する『がんゲノム医療拠点病院』、およびこれらに連携する『がんゲノム連携病院』だ。中核拠点病院と拠点病院は、検査結果をもとに治療方針などを検討する専門家会議(エキスパートパネル)を開催する。現在約150カ所ある連携病院の数も今後増える見通しだ」

――患者には具体的にどのような恩恵がありますか。

「がんゲノム医療の対象となるのは、これまでに標準的ながん治療を受けたが効かなかったか、希少がんなどで標準治療がない患者だ。遺伝子パネル検査の結果をもとに、エキスパートパネルが、国内で進行中の臨床試験に参加するなど新たな治療方針を検討し、担当医から患者に知らせる。これまでの研究から、新たな治療法が見つかるケースは10%強程度とみられる。新しい治療が必ず見つかるという期待には添えないが、患者にとっては効果のありそうな道を探すチャンスになるはずだ」

「デンシバ Spotlight」の記事一覧はこちら

今、転職を検討しているあなたへ / 日経転職版

同世代の年収っていくらぐらい?

日経転職版でチェック

>> 年収チェックはこちらから