「とりあえずインターンにたくさん応募します」。就職活動のルールが見えなくなり、大きな混乱に巻き込まれそうなのが、2021年以降に卒業する大学生だ。それでもなお、21年卒組は今年夏の企業インターンが就活の前哨戦になるとみて、動き始めた。
ツイッターの「21卒垢」主、インターンへの応募は50社
21年卒業予定の都内の大学院1年、荒川咲緒里さん(仮名)は学部4年生だった昨年秋、就活用のツイッターアカウントを開設した。大学の友人らの就活ペースがゆっくりすぎると焦りを感じ、院卒後のことを考えての行動だった。
ニックネームの後に「@21卒」と表記した就活専用アカウント、通称「就活垢」。似た立場の者同士で日々情報交換をしているが、人気の外資系やコンサルティング業界のインターン情報が出回り始める年明けぐらいからタイムラインが活発化してきた。
人気インターンの情報、選考スケジュール表の共有、面接の乗り切り方、愚痴――。百人以上の就活生とつながる荒川さんのタイムラインは忙しい。情報交換だけでなく、インターン選考の前には実際に顔を合わせてグループディスカッションの練習をすることもある。
昼は大学で研究、夜はエントリーシート作成で「全然時間がない」という荒川さん。就活垢で仲間とつながれた半面、不安を増す要因にもなっている。自分よりも優秀に思える人が、人気インターンの選考で落ちたことがタイムラインで流れてくるからだ。「自分はもっと頑張らないと」と焦りに拍車がかかる。
荒川さんが夏に応募するインターンの数は、50社にも上る。外資、コンサル、証券会社、メーカー、スタートアップなど業界や規模も様々。「人気のところはものすごく狭い門だから、とにかくいっぱい受ける。2~3社合格できればいいな」と話す。
インターン参加学生 15%に内定可能性示唆
荒川さんの50社への応募は多いほうだが、10社程度を検討する学生は珍しくない。学生が「とりあえずインターン」になだれ込むのは、実際に内定につながると考えているからだ。
2019年卒を対象にしたリクルートキャリアの調査で、15%の学生が内定の可能性をインターン中に示唆され、23%の学生はインターン後に何らかの勧誘を受けたという結果が出ている。就活自由化の足音がひたひたと迫ってくるのが聞こえる21年卒組だからこそ、インターンの重みがそれ以前の世代よりも増している。