4人組ポップバンドsumika 「キミスイ」楽曲で脚光
ポップセンスあふれるバンドサウンドが武器の4人組バンド、sumika。昨年は、「キミスイ」の略称で若者に愛読されている小説『君の膵臓をたべたい』の劇場アニメ版や、JR SKISKIのタイアップ曲を手掛け、より多くの若いファンからの支持を獲得。初の日本武道館公演も開催した彼らが、2ndアルバム『Chime』を3月13日にリリースした。
結成は2013年。当初はフロントマンであるボーカル&ギターの片岡健太とギターの黒田隼之介、ドラムの荒井智之の3人体制。そこへ15年2月にキーボードの小川貴之が加入し現在の形に。黒田は「鍵盤の音が入ることでポップな曲調の楽曲が増え、万人に届く可能性を持ったサウンドへと進化した」と明かす。
そんななか、同年5月に片岡が喉の調子を崩したことから体調不良に陥り、活動休止に。しかし、残った3人で活動を続け、ライブでは小川が緊急的にボーカルを務めた。その後、約7カ月の休養期間から戻ってきた片岡も「久しぶりにみんなでスタジオに入った時に、以前より良い音を鳴らせたので、意味のある期間となった」と振り返る。
そこから活動のギアを上げ、16年に「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」に初出場。17年発売の1stアルバム『Familia』はインディーズながらオリコン週間チャートで5位に入った。
約1年半ぶりとなる2ndアルバム『Chime』では「より多くの人の心のチャイムを鳴らせるように」(荒井)というコンセプトのもと、楽曲でも新たな試みを行った。毎年旬なアーティストが起用されるJR SKISKIのキャンペーンテーマ曲用に書き下ろしたウインターソングの『ホワイトマーチ』では、編曲にいきものがかりやback numberを手掛ける島田昌典を迎えた。「島田さんはキーボーディストとしても有名な方なので、小川くんとの化学反応に期待した」(片岡)と明かす。
ある男女の恋愛をそれぞれの視点から歌った『あの手、この手』では、2部構成の楽曲に挑戦。前半は片岡がボーカルを務め、後半にはシンガーソングライターの吉澤嘉代子を迎えた。また『ゴーストライター』は当初出来上がっていたロックサウンドの強いものではなく、最終的にピアノとチェロとボーカルの3音だけのバージョンを収録した。
3~6月の全国ツアーは、初の単独での横浜アリーナ・大阪城ホール公演を含む最大規模のものとなる。今作で楽曲の幅が広がり、19年はさらなる飛躍が期待できる1年となりそうだ。
(日経エンタテインメント!4月号の記事を再構成 文/中桐基善)
[日経MJ2019年4月19日付]
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