プロ経営者の松本晃氏は、実力主義の外資系企業を率いて実績を残し、カルビーでも売り上げと利益を伸ばすなど、結果を出してきました。簡単な言葉で本質を示し、それを繰り返し強調する。松本氏は、そんな「シンプル経営」とも呼ばれる手法で結果を出す組織をつくり上げてきたのです。今回は組織づくりと人材の評価の仕方を聞きました。
「いいやつ」で通用するプロはいない
前回は、日本企業の経営者への報酬についてお話ししました。これと表裏の関係にあるのが、人をどのように評価するかという問題です。
答えはズバリ、成果です。プロ野球選手をどうやって評価しますか? 相撲取りはどうですか? プロテニスプレーヤーは? 「あいつはいいやつだ。しかし、また一回戦で負けた」という人を高く評価しますか? 普通はしませんよね。
ところが、これに対して「それはプロの世界だから有効な話だ。ビジネスマンは往々にして成果が出ないことがある」と反論する人がいます。でも、評価の尺度を成果以外にしたらどうなるか。結局、好き嫌いの世界になってしまうのです。そうすると組織は絶対ダメになる。人間だから好き嫌いの感情があるのは当然としても、評価は全く別物にしないといけません。
僕は徹底的な成果主義でやってきました。「結果を出さない人はダメよ」と。たとえば、野球でライトにホームラン性の当たりを飛ばしたとしましょう。ところが、イチロー選手がフェンスに登って取ってしまった。これを何と言うか。ただのライトフライです。
守っていたのがイチロー選手だから捕られた。運が悪かった。本当だったらホームランだったと残念がる人がいます。けれども「本当だったらホームラン」というホームランはないのです。ライトフライはライトフライです。そう評価する方が公平だと思うのです。