■段返り3つボタンのルールは

――英国起源のブレザーが日本で一般的になったのはいつごろですか。

石津「1960年代にVAN(ヴァンヂャケット)がブレザーを売り出してからでしょうね。その当時からブレザーの形はほとんど変化していない。ブレザーはベーシックで定番中の定番アイテムだから、あらゆるコーディネートが楽しめます。だから、おしゃれを勉強するにはもってこい。ブレザーを着ながら、ネクタイやシャツ、スラックスといったアイテムの組み合わせ方、個性の出し方なんかを身につけられる」

ブルックスブラザーズのブレザー「マディソン」(右、税別6万9000円)と細身の「ミラノ」(同)

――ブルックスブラザーズのブレザーの定番は。

大平「まずこちらがザ・ブレザーともいうべき、アメリカントラディショナルのスタンダードモデル『マディソン』のブレザーです。段返りの3つボタンで、ウエストの絞り(ダーツ)が入っていないのでサック(ずだ袋)モデルと呼ばれる、すとんとしたボックス型のシルエットです」

――段返りとは何でしょうか。

石津「まず、スポーツモデルの上着には元来3つボタンが多い。学生のブレザーもそうでしょう。でも3つボタンでなきゃいけないわけじゃなくて、別のタイプもあります。段返り3つボタンというのは、第1ボタンが下襟の裏に隠れるよう付けてあるスタイル。一見、2つボタンのように見えるの。この第1ボタンはあくまで飾りで、決して留めてはいけません。これをむりやり留めて、前身ごろにしわが寄ってしまっている社会人がいますが、間違いです。留めるのは中1つだけですよ。もちろん、段返りではない3つボタンスーツでは第1、第2の2つのボタンを留めるのがセオリー」

装飾的な意味合いのボタン「段返り」

――ボタンには独特の美意識とかルールがありますよね。

石津「段返りが上手ではないメーカーがたくさんあります。僕は、第1と第2の間の上3分の1のところで返るものが絶妙な案配だと教わりました。ブルックスブラザーズのは返りが深いね。ボタンホールが半分くらい見えるイメージかな。話はそれるけどボタンのルールといえば、一番下のボタンはポケットの上の線と同じ高さだとバランスがいい、というのもあるよね」

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