先ごろ5人の受賞者が選出された「スーツ・オブ・ザ・イヤー」(「NIKKEI STYLE Men's Fashion」と世界文化社「MEN'S EX」の共催)の授賞式。服飾評論家の石津祥介さんは「スーツスタイルのお手本だね」と高く評価した。いずれの受賞者も、着用しているスーツのコーディネートが決まっているのはもちろんだが、「サイズ選びが完璧なところが格好よく見えるポイントだ」と指摘する。最近、街中で見かけるビジネスマンのスーツ姿のフィット感に違和感を持つことが多いという石津さんに、人と差を付けるサイズ選びのノウハウについて聞いた。
――「スーツ・オブ・ザ・イヤー」の授賞式では、受賞者が着ているスーツの生地や仕立て以上に、体と一体化しているかのようなシルエットに目が行きました。
「そう。スーツ姿がすてきにみえるかどうかのポイントはサイズにあるんですよ。上着、袖、足元。どこをとっても丈がちょうどいい。スーツを着るならこうじゃないといけないね」
――これまで男性スーツのサイズに転機が訪れた時期といえば、バブル経済期。体が泳ぐようなスーツがはやりました。
「イタリアのジョルジオ・アルマーニが代表で、ゆったりしたダブルのソフトスーツが大流行しましたよね。それよりも以前には日本独自の背広のサイズもできました。A4とかYAといったサイズ表示がされるものです」
■上着の袖からシャツが出ていないなんて
――最近は、細身になっていることも理由でしょうが、若い世代はぴったりしたスーツを着ている人が多いようです。
「上着の丈が短すぎです。つんつるてんでお尻丸出しなんだ。ファッション好きな人ほど短いの。ズボン丈も短い。そのくせね、袖が長い。上着からワイシャツが出ていないなんて。ありえないビジネススタイルですよ」
「紳士服には女性の流行が数年遅れで来る。女性は今ビッグシルエットがトレンドだけれど、男性の間ではまだ小さめサイズが流行しているのでしょう。部長課長級ではそう見かけませんが、若いビジネスマンはたいていショート丈でタイトなスーツを着ています。かっこ悪いよ」

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