バブル期に空前のブームとなったネイビーのブレザー、通称、紺ブレ。最近、人気が再燃し、雑誌で目にすることが増えた。もともとブレザーはトラッドスタイルに欠かせない定番アイテムで、逸話には事欠かない。紺ブレを愛用する服飾評論家の石津祥介さんと、ブレザーの最新事情を探るべくブルックスブラザーズ青山本店(東京・港)を訪問。ブランドアンバサダーの大平洋一さんを交えてブレザーの起源やコーディネートについて語り合った。
■ケンブリッジ大のカレッジカラーから
――そもそもブレザーとジャケットの違いは何でしょうか。
石津「いまはジャケットと総称されることが多いのですが、ブレザーの定義は本来、スポーツをする時の制服なんです。クリケットやラグビー、テニスなどで着用するジャケットが始まりといわれています。クラブの紋章を入れたメタルボタンと左胸のパッチポケットに付けたエンブレムが特徴かな。日本では男性も女性も、中高生時代に制服で紺ブレを着慣れている人が多いでしょう。女性のファッションは男性のスタイルに端を発したものが多いけど、紺ブレはその典型だよね。ただし、もともとブレザーの色は赤なんだよ」
――えっ? 正式には赤ブレザーなのですか。
石津「昔、英オックスフォード大とケンブリッジ大の伝統あるボートレースで、ケンブリッジ側で出場したカレッジのこぎ手が燃えるような赤(ブレイジングレッド)のジャケットを着て現れた。そのカレッジ(セント・ジョンズ)のカラーが赤だったんだよね。鮮烈な印象にみなびっくりしたというよ。それが一般用語の『ブレザー』になったという説が有名で、だからもともと正式な色は赤というわけ。もっとも、今に至るまでブレザーにはスクールカラーやクラブカラーを使うから、実際に使われている色はさまざま。ネイビーブレザーは海軍の制服の色からきているんだ」

THE NIKKEI MAGAZINE 4月誕生!
Men's Fashionはこの4月、あらゆるビジネスパーソンに上質なライフスタイルを提案するメディア「THE NIKKEI MAGAZINE」に生まれ変わります。限定イベントなどを提供する会員組織「THE NIKKEI MAGAZINE CLUB」も発足します。先行登録はこちら