実際、匂いや香りを間違ってしまうと、多少の見た目の良さや人当たりの良さなど軽く吹っ飛んでしまうインパクトがありますので、「できるビジネスパーソン」としては注意したいものです。
■男性が「香りを身にまとう」に感じる抵抗感
私は企業の経営トップ層や管理職層に対して「エグゼクティブプレゼンス(=上に立つ人らしい存在感、一流の雰囲気)」を身にまとうための印象や態度、振る舞い、といった内容の研修を行うこともよくあります。この中で「香り」について必ず言及することになります。「上に立つ人らしい存在感、一流の雰囲気」に「その人自身の良い香り」は欠かせません。
「香り」は成熟した大人の身だしなみの一環であり、その人の人となりを表す要素なのです。私は常に「一般的な大人」の身だしなみとして必ず体臭や悪臭を常に抑える努力をすることと、人が好ましく感じ、またその人自身の個性も表す香りを付加することを推奨しています。
しかし、そこである種の抵抗感を持つ受講者は案外少なくありません。抵抗感を覚える理由は、聞いている限りでは以下の5つがよく言われます。
2.自分は(または日本人は)体臭が薄いので、それほど気遣いはいらない
3.自然がいちばん。清潔感を保つように努力はするが、香りを付加するのは不自然だ
4.「香水をつけている男」は浮ついていてカッコをつけすぎのイメージがある
5.香水のアレルギーなど体質的な問題がある
このうち、5に関しては「いたしかたない」と思います。ただし、ケミカルな香り成分を原料とせず、天然由来のおだやかな香りをいちど試していただきたいと伝えます。しかし、それ以外は「ちょっと誤解が多いかな」といつも思うところです。
■日本人が陥りがちな「大いなる誤解」
まず1は「いつの話?」ということです。確かに、ヨーロッパで香水が生まれた由来として、不衛生な状態を香りでごまかすという需要があったというのは事実らしいです。日本でもそのような需要から、さまざまな香りが発達したとか。しかし、それは何世紀も前のお話です。こういった古い認識は、現代ではきれいさっぱり捨ててください。
こういう認識を持っていますと、いざ香りをつけようとするときに、そのままの状態でただ振りかけるような行動になってしまうかもしれません。これは、せっかく香りをプラスしても、汗の臭いと混じって、かえって悪臭となってしまう「最も損なつけ方」です。
香りをつけるときには、つける前の状態を清潔にします。汗や皮脂をできるだけぬぐいさり、制汗剤(汗の分泌や臭いを抑えるパウダーや液剤)を必要な箇所にオンしておくことです。良い香りをつける前にイヤな臭いはできる限りとっておく、というのが「大人のマナー」の一つと考えるべきです。

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