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有森裕子 私がカンボジアで体育教育を支援する理由

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2018/12/30

カンボジアの小学校で取り入れられた体育の授業の様子。(写真提供:ハート・オブ・ゴールド)
日経Gooday(グッデイ)

早いもので、今年も残すところ数日となりました。この1年、皆さんはけがをすることなくランニングを楽しめたでしょうか。年末年始はなにかと忙しく、ランニングに集中しにくい時期ですが、まずは体調をしっかり整えて、コツコツとトレーニングに取り組んでいきましょう。

2018年は、私が代表理事を務める「ハート・オブ・ゴールド」[注1]という団体が創立20年を迎えた年でもありました。ハート・オブ・ゴールドとは、「スポーツを通じて希望と勇気を分かちあう」ことを目的としたNPO法人で、スポーツを介した社会貢献活動に取り組んでいます。

■きっかけは、義足を贈るハーフマラソン

設立のきっかけは、1996年12月にカンボジアで初めて開催された「アンコールワット国際ハーフマラソン」でした。皆さんもご存じのように、カンボジアでは、1970年代から始まった内戦により、おびただしい数の命が失われました。地中には何百万個もの地雷が埋められ、子どもを含む多くの人々が犠牲となり、手や足を失いました。

この大会は、地雷で手足を失った人たちに義足などを贈るために、参加者の申込金が寄付されるチャリティマラソン大会で、私自身第1回大会から毎年参加し、お手伝いさせていただいています。

「ハート・オブ・ゴールド」を立ち上げたのは、第1回大会の2年後の1998年。スポーツを介して、カンボジアをはじめとした紛争地や災害の被災地で苦境に立たされている人の役に立ちたい。でも私一人の力ではできることが限られているので、きちんとした組織を作って、多くの人たちと一緒に、責任を持って息の長い社会貢献を続けていくことが重要だと考えて、設立に至りました。

ちなみに、ハート・オブ・ゴールドとは、バルセロナオリンピック女子マラソンの銅メダリストで、4回ものオリンピックに出場されたローレン・モラーさんからいただいた言葉です。彼女はカンボジアの地雷被害者の救済に当たる私たちの活動に共感してくれて、「あなたこそ、心の金メダリストだ」とありがたい言葉をかけてくれました。それがうれしくて、その言葉を胸に刻んで活動していこうと、そのまま団体名にさせていただきました。そして、心の金メダルを求める人たちの集まりになっていければと、皆さんをお誘いしています。

■「体育教育」の余力がなかったカンボジアの小・中学校

サッカーの本田圭佑選手が、カンボジアの小学生たちにサッカー関連の衣料を寄贈するなど、今でこそ多くのトップアスリートが国内外での社会貢献活動に取り組んでいます。元プロサッカー選手の北澤豪さんも、現役時代からスポーツを通じた社会貢献活動にいち早く取り組み、2004年からはJICA(独立行政法人国際協力機構)のオフィシャルサポーターとして、数多くの発展途上国を訪問するなどの活動を続けていらっしゃいます。

でも、ハート・オブ・ゴールドの設立当時は、スポーツを通じた開発のロールモデルがほとんどなく、スポーツを通じてカンボジアで何ができるのかを、手探りで探していました。そして、現地の人とコミュニケーションを取って一つひとつステップを踏みながら着目したのが、学校教育の中に、体育の授業を取り入れることでした。

[注1]特定非営利活動法人ハート・オブ・ゴールド:http://www.hofg.org/

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