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ヒロイン女優へのルートとして、注目度が高まっているのが、作品性や個性的な内容でコアな支持を得ているミニシアター系や独立系配給の映画に出演する女優だ。17年公開の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』で多くの新人賞を獲得して一躍脚光を浴びた石橋静河がその代表格。18年7月公開の『菊とギロチン』で主演した木竜麻生や、11月公開の『生きてるだけで、愛。』で主演している趣里も注目を集めている。

是枝裕和監督の『万引き家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞して、『カメラを止めるな!』が口コミで広がり異例の大ヒットとなり(ヒロインは秋山ゆずき)、18年は独立系・ミニシアター系映画が脚光を浴びている。

『つむぐもの』『名前』『イノセント15』などの映画をプロデュースしたグラスゴー15の前信介氏は「ミニシアター系の映画では、未完成でまだ色がついていない未知の女優が求められることがあります。多くの監督が、初めて主演する女優だからこその魅力を作品に打ち出して、自作を通じて人気女優に育てたいという志向もあるようです」と話す。

前氏は今後の期待として、「無名俳優のみが出演した『カメラを止めるな!』が商業的に成功したことで、今までは著名な俳優が出ていないと資金が集まらなかったような中身重視の企画も注目を浴び、無名でも魅力ある女優が活躍する時代が来てほしい」と語る。

最後にアイドル出身女優の活躍が目立つのも現在の状況。ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』に出演している元AKB48 の川栄李奈は、10月20日に主演映画『恋のしずく』が公開される。元NGT48の北原里英は舞台『新・幕末純情伝FAKE NEWS』で主演した。

18年の傾向としては、アイドルグループに現在も在籍する現役アイドルが話題作に続々と登場している。欅坂46の平手友梨奈は9月14日公開の映画『響-HIBIKI-』で主演。乃木坂46の齋藤飛鳥は10月5日公開の映画『あの頃、君を追いかけた』でヒロイン役。現役アイドルが女優活動を両立できる環境が整備されれば、「アイドルから女優」というルートは、さらに勢力を拡大しそうだ。

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2018年10月号の記事を再構成]

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