高音質で耳にも優しい オーダーメードイヤホンを作る「年の差30」最新AV機器探訪

一人ひとりの耳の形に合わせたオーダーメードイヤホンを作ってみた。写真左は型を取るために耳の穴にシリコン印象材を流し込んでいるところ。右が完成したイヤホン
一人ひとりの耳の形に合わせたオーダーメードイヤホンを作ってみた。写真左は型を取るために耳の穴にシリコン印象材を流し込んでいるところ。右が完成したイヤホン

有線や無線だけでなく、耳を覆うオーバーヘッドタイプ、耳の中に入れるカナルタイプなど、さまざまな種類があるイヤホン、ヘッドホン。近年、注目度が高まっているのが一人ひとりの耳に合わせて作るオーダーメードイヤホンだ。遮蔽性が高く小さな音でも楽しめるため、耳にかかる負担も少ないという。とはいえ、まだ作ったことがある人は少ないだろう。そこで平成生まれのライターが実際に作ってみた。昭和世代のAV評論家に連れられ訪ねたのは、東京・東銀座にある補聴器店だった。

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歯科技工所なのになぜイヤホン?

小原由夫(54歳のオーディオ・ビジュアル評論家) きょうは僕も愛用しているオーダーメードイヤホン「FitEar(フィットイヤー)」を作るため、須山歯研が展開する須山補聴器に来ています。

小沼理(26歳のライター) 事前に工程を調べてみましたが、型をとるために耳の中にシリコンを注入するみたいで……大丈夫かなあ。

小原 私は無事に終了しましたが、小沼さんは果たしてうまくいくかな。

須山歯研 代表取締役社長の須山慶太さん。応接室には、趣味のオーディオ機器が並ぶ。背後にあるのは「JBL 4343 BWX」

須山慶太(須山歯研 代表取締役社長) そんなに怖がらせないでください(笑)。事故が起こることのないよう、補聴器を製作するときと同じ手順で安全を確認した上で耳型採取を行いますから。

小沼 なるほど、補聴器と同じ手順なんですね。それを聞いて安心しました(笑)。最初に聞きたいのですが、どうして「須山歯研」という社名なのにイヤホンや補聴器を作っているのでしょう。

須山 実は入れ歯などを作る歯科技工と補聴器の作製は、技術も材料もほとんど同じなんですよ。

小沼 えっ! そうなんですか。

須山 補聴器メーカーで補聴器を作る人の多くが歯科技工士ですよ。業界的に重なっているんです。須山歯研は入れ歯を作る企業として創業しましたが、1985年にその技術を応用し、オーダーメードの補聴器を作るようになりました。

小原 イヤホンにちょっと近づいてきましたね。

須山 オーダーメードイヤホンを作るようになったのは、2001年のiPodの登場がきっかけです。私はその頃からApple信者でして、新製品が発売されるとすぐに購入して、分解してホームページにアップしていたんです。

小沼 筋金入りですね(笑)。

須山 iPod付属のイヤホンを分解しているときに、ふと、「耳に合わせた形状で作ったらもっと音が良くなるのでは」とひらめいたんですよ。材料もあるし、面白そうだなと思って作ったのが最初です。

小沼 最初は遊びだったんですね。事業として始めたのはいつごろですか?

須山 ホームページを面白がって見てくれていた人に、舞台演出をしている人がいて、依頼をいただいたのが04年。そこからイヤモニ(インイヤーモニターの略。ステージ上のミュージシャンに必要な音を伝える装置)の製作が始まったんです。

小沼 そうか、イヤモニもミュージシャン一人ひとりに合わせたオーダーメードですものね。

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