――ブルーと茶の組み合わせがタブーとは意外です。イタリアの男性がよく着ていませんか。

「イタリアですと相当意識した男がするテクニック。僕は若いころオヤジに怒られました。お前らの年でする組み合わせじゃない、とね。いろいろ着こなした上で試してみる高度な色合わせですよ」

■基本はシングルノット

――ノットの大きさは体形に合わせるのですか。

「体形よりもシャツの襟の形によって変えます。ボタンダウンならノットは小さく、ワイドなら大きめに。基本はシングルノット。安藤さんのシャツはワイドよりもさらに広いホリゾンタル。襟の開きが水平に近い。ホリゾンタルのシャツに締めるときは、ノットを大きめにすることが大事です。もう少し大きく、ワイドに結んでもいいだろうね。襟口にネクタイ地がみえてしまっているから」

――長さはどう調整しますか。

「ネクタイは大きい剣先でベルトが少し隠れるくらいに締めるのがちょうどいい。ただ、日本ではネクタイの長さのバリエーションがないのが残念。もし長すぎたら、小剣の側を長めにしてズボンに入れるとかして調整するしかありませんね」

――ネクタイ幅は1960年代は細く、70年代は太くと変化しました。

「流行があるのは幅だけです。今は大きなトレンドはないですから、流行に乗らない方が賢い。大剣(ネクタイの太い方の剣先)の幅が7~8センチメートルくらいが一般的です。選ぶときに一番大切なことは、冒険。ビジネススタイルで唯一、自由が許されているところだから、どこまで遊び心に挑戦できるかがおしゃれのポイント」

■まずは黒のニットタイ

――これだけは、という基本のネクタイを教えてください。

2本のハンガーに掛けた石津さん所有のネクタイ。右が秋冬用、左が春夏用。色味や素材で分けてある

「まず黒のニットタイ。どんな上着にも合います。次にレジメンタルといわれる縞柄。さらに飛び柄。水玉など小さい柄です。そして、ペイズリー柄。これらがベーシックです」

「そして素材で季節感を出します。冬はウール、夏は綿やニット。季節を分けない人が多いですけど、僕はこうしているの(と、2つのハンガーに掛かったネクタイを見せる)。こちらが春夏、こちらが秋冬。一目瞭然でしょう」

「この1~2年でシャツは白が主流になりましたからネクタイは何を締めてもいい。シルクに偏らず色々な素材に挑戦して、他の人より一歩前に出てほしいですね」

(聞き手は編集委員 松本和佳)

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石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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