実の親子コンビ、完熟フレッシュ 父子家庭ネタが武器
「パパが売れない芸人をダラダラ続けてたせいでママが出てったんだから」「芸人やってて売れないのは罪だからね!」――。おかっぱ頭の娘・池田レイラ(13)がモヒカン頭の父・池田57CRAZY(42、ゴナクレージー)を攻め立てる。そんな実の親子コンビ「完熟フレッシュ」がリアルな父子家庭ネタを武器に、ぐいぐいと露出を高めている。
今年元日の「ぐるナイおもしろ荘」(日テレ系)で注目され、「行列のできる法律相談所」「天才! 志村どうぶつ園」(共に日テレ系)など、人気バラエティーに次々出演するようになった。
友人に誘われて2001年にプロダクション人力舎の養成所・スクールJCAに入った57CRAZY。「当時の憧れはルート33さん。漫才のスピード感が好きで、ああなりたいと思っていました。結局センスがなくてダメでしたけど(笑)」
いくつかのコンビを経て完熟フレッシュの1つ前に組んでいたロックンロールコメディーショーでは何度もテレビに出演。しかしブレイクには至らず13年に解散した。
「しびれを切らしたかみさんがレイラを連れて家を出て行くと言い出したんです。どうしても娘と離れたくなかったので、コンビを解散してスポーツジムに就職しました。結局かみさんは出て行っちゃったんですけどね」(57CRAZY)
彼のお笑いへの意欲に再び火を付けたのは、旧知の芸人仲間だ。気持ちの整理がついてきたころに、昔からの仲間だったカズレーザー(メイプル超合金)や新道竜巳(馬鹿よ貴方は)たちがテレビに出始めたのだ。
「うれしかった反面、嫉妬心も芽生えてしまって。その直後にM-1グランプリが復活すると聞き、1年かけてレイラを説得して、16年8月にコンビを組みました」(57CRAZY)
見た目のインパクトに加えて、実の親子による掛け合い漫才という物珍しさも手伝い、前のコンビでは何度も落ちた「おもしろ荘」のオーディションも一発で通過。バラエティーでは私生活まで取り上げられ、57CRAZYが家事全般を担う様子や、ワイルドな風貌ながら内面は真面目で常識人なところも知られるようになった。
物おじせず発言するレイラの快活なキャラクターも浸透しつつある。取材時も「レイラはとにかく練習嫌い。だらしない」と語る父に対して、「でも結局本番でかむのはパパじゃん!」と反撃するなど、漫才そのままのやりとりで笑わせる。
1年後の目標を尋ねると、レイラは「ピンになっていたい(笑)」と即答。慌てた57CRAZYは負けじと「大河ドラマに出たい」と反応するも、「無理無理」と返されてしまった。
気を取り直し、「M-1がきっかけで組んだので、M-1にこだわりたい」と抱負を述べると、レイラは同意しつつ、「お仕事をもらえるなら、何でもやってみたい」と続けた。親子ならではのコミカルな丁々発止で今後もバラエティーを盛り上げてくれそうだ。
(「日経エンタテインメント!」8月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2018年8月31日付]
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