脳みそを食べて犯人捜し 海外ドラマはゾンビ花盛り
2018年6月 海外ドラマ月間レンタルランキング
『ウォーキング・デッド』の大ヒット以来、ゾンビものの新作が続々と作られ、海外ドラマの一大人気ジャンルに成長している。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキングにも新タイプのゾンビものが2作、トップ10にランクインした。2位の『iゾンビ』は若い女性のゾンビが検視官となり、殺人事件を解決に導く異色作。7位の『Zネーション』は変わり種のゾンビがファンを喜ばせている。
『iゾンビ』は、ある事件がきっかけでゾンビになった女性が、好物の脳みそを食べると死者の記憶が見える特殊能力を生かして、検視官として殺人事件を解決するというストーリー。全米では2015年からThe CWで放送されており、今年シーズン4が始まったヒット作だ。
ゾンビがヒロインとなり、犯罪捜査にあたるという奇想天外な設定の本作をプロデュースしたのは、女子高生探偵が活躍する人気シリーズ『ヴェロニカ・マーズ』を手がけたロブ・トーマス。ゾンビや犯罪アクションの要素に、コメディー、ラブストーリー、謎解きをミックスしたポップな作風が、若い世代や女性に受けている。
主人公のリヴを演じるのは『ワンス・アポン・ア・タイム』のティンカーベル役で知られるローズ・マクアイヴァー。食べた脳みその持ち主のキャラクターが取りついてしまう七変化の演技も見どころだ。
7位の『Zネーション』は、14年からSyfyで全米放送がスタート。ゾンビがはこびる米国で、治療実験に成功したとみられる被験者をニューヨークからカリフォルニアの研究所まで護送する任務を負った一行の旅を描いていく。名物ともいえるのが、赤ちゃんゾンビや、集団で転がってきて人間を襲うゾンビ団子など変わり種のゾンビが登場すること。フォース・シーズンでも、ネズミゾンビやフランケンゾンビなどが大暴れする。
TSUTAYA レンタルユニット 映像チーム海外ドラマ担当の中山知美氏は、両作の特徴や支持層をこう語る。
「『iゾンビ』は今までのゾンビものとは一線を画し、女性検視官のゾンビがヒロインの"ハートフル"ゾンビ・エンタテインメント。40~50代の男性がボリュームゾーンではありますが、斬新な設定や、ジャケットのポップなデザインの効果で、通常のゾンビ作品と比べて30~40代の女性から多く視聴されており、男女比は6対4の割合です。一方、『Zネーション』は『ウォーキング・デッド』とほぼ同じユーザー層に視聴されています。30~40代の男性がボリュームゾーンで、男女比は7対3の割合。B級のホラーやアクションを得意とする映画製作会社アサイラムが手がけているだけに、生粋のゾンビファンにはたまらない内容で、話がスピーディーに展開するのが特徴です」
■ロシア発は美女だけがゾンビ化
ブームの発端をつくった『ウォーキング・デッド』は、今もファンを増やし続けている。6月のランキングでは、DVD最新作のシーズン7が14位に入ったのに続いて、15位にシーズン1がランクイン。12年のリリースから6年たった今でも新規ユーザーを取り込んでいる。トップ30にシーズン1~7のうち5作が入る圧倒的な人気だ。
ゾンビものの新作リリースは、この先も相次ぐ。8月には、ディズニー・チャンネルのテレビ映画で、人間のチアリーダーとゾンビのアメフト選手が恋に落ちる学園ミュージカル『ゾンビーズ』が登場。今秋には、ロシアで製作された『デイ・アフターZ』が控えている。美しい女性だけがゾンビ化するという異色の設定で、米国をはじめ各国で話題を呼んでいるシリーズだ。
もはや何でもありの様相を呈しているゾンビの世界だが、その自由度がクリエイターの創作意欲をかきたてるのだろう。ブームはまだまだ続きそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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