あえて見知らぬ業界に転職 社長から部長へ「格下げ」モルソン・クアーズ・ジャパン 斉藤幸信社長(下)

自分の「多様性不足」を乗り越えたかった

キリン・ディアジオの社長職に不満があったわけではない。ただ、「50歳までには業界を越えて通用するビジネスパーソンになりたい」という目標があり、社長に就任してから2年が経過したころ、どうしてもそれを実行に移したくなった。

斉藤氏は「アジアビジネスが私のライフワーク」と言い切る

「海外で出会うビジネスパーソンのキャリアを見ていて、自分自身のキャリアに多様性が欠けているのが気になっていたんです。会社には愛着がありましたし、辞めるのは申し訳なく、大変でしたが、業界を越えて通用するかどうかの挑戦をしたいと説明し、最終的には納得してもらいました」

「酒類・飲料業界から離れているほどよい」と希望し、化粧品業界大手の日本ロレアルに事業部長として転職した。社長から事業部長へという役職の変化にも抵抗はなかった。

「違う業界で挑戦することのほうに、タイトル(役職)よりも上の優先順位を置いていました。日本ロレアルは規模の大きい会社で、事業部制をとっていましたから、1つの事業部を小さな会社のように動かせることも魅力でした」

与えられたミッションは「業績を2年間で回復させること」。矢継ぎ早に新商品を市場に投入し、コスト構造を見直すなどして目標をクリアした。アジアで新規事業を立ち上げてきた経験と、日本ロレアルでの実績を買われ、2018年2月、米国系ビール・飲料メーカーの日本法人であるモルソン・クアーズ・ジャパンの社長に迎えられた。

消費の二極化が進む日本の国内ビール市場で、伸びしろがあると期待される高価格帯のプレミアムビールを投入し、シェアの獲得を狙う。全く異なる業界での経験を経て、愛着のあるビール業界、そして日本で、これからどんな手腕を見せてくれるのだろう。「アジアビジネスが私のライフワーク」と語る斉藤氏の新たな挑戦が始まった。

斉藤幸信
モルソン・クアーズ・ジャパン社長。1964年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、86年にキリンビール入社。バドワイザー・ジャパン出向などを経て95年から15年間、中国、台湾、香港、ベトナムなどで事業開発や現地法人経営に携わる。キリン・ディアジオ社社長を最後に酒類業界を離れ、2014年日本ロレアル事業部長。18年から現職。

(ライター 曲沼美恵)

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