ソックスが「できる男」か否かの印象を左右する=PIXTA「できる」ように見えるか、見えないか。意外にちょっとしたところで差がつくものです。もちろん仕事は実力が大事です。しかし、「見た目がキマッていない」人と「見た目もキマッている」人を比べれば、やはり後者は最初から期待感も信頼も得やすいということは間違いありません。もし、ソックスがその印象を分けると聞いたら、あなたは驚くでしょうか。それとも「当然」と思うでしょうか。2回に分けて解説します。
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■スネが見える丈は厳禁
スーツやビジネスでの服装について、これだけ情報があふれかえっていても、「はくべきソックス」を知らない人が多いのには驚きます。一番多いのは「丈感の間違い」です。待ち合わせや打ち合わせで座った姿を見ると「スネ」が丸見えで、驚くことが少なくありません。座ると目立つのが足元です。そこにスキがあるかないかで、印象はまるで変わるのです。
スーツに合わせるべきソックスは「ロングホーズ」が基本です。「ホーズ(hose)」は「靴下」の意味なので「長靴下」ということです。英単語としては女性ストッキングのことも指すようですが、百貨店の紳士用小物売り場で聞いても、ネットショッピングの検索でも、ちゃんと男性用の靴下が出てきます。長さは「ハイソックス」より少し長めですが、ハイソックスと同一視しているところもあります。
スーツに合わせるべきソックスは「ロングホーズ」が基本
そこまで長くなくても、ぎりぎりスネがのぞかないように配慮された丈のソックスも少なくありません。とにもかくにも、買うときは丈をよく吟味して買ってください。
■なぜか日本に多い無頓着
なぜか日本ではスラックスの裾からスネがのぞくことに対して無頓着な人が多いようです。本来、紳士のたしなみとして、あってはならないことです。一方で、売り場でもふくらはぎにちょっとかかるような中途半端な丈のソックスを平気で売っているのも事実です。
なぜそうなのか調べたことがあるのですが、いま一つはっきりせず、例えば「洋装が日本に入り始めたころにスポーツソックスとスーツ用ソックスの区別がつかなかったせいではないか」という説や、「紡績会社が戦後原料不足で仕方なくそういうソックスを作ったのではないか」という説を見たくらいでした。そんな由来のほかに、日本の気候では足をそこまで覆うものはつらいということで短め丈が支持された、という事情もあるのかもしれません。
■「エグゼクティブ」か「おっさん」か
しかし、ちょっと丈が違うだけなのに、そのイメージの差は大きいのです。例えば、ホテルのラウンジなどで、座っているビジネスマンを観察してみてください。座った腰から下を見ただけで、その人が「エグゼクティブ」か「おじさん」かはすぐに判別できるでしょう。スネが見えるだけで、装いのイメージはまったく異なってしまうのです。
次に、ソックスの色について、みてみましょう。暑い季節向けには涼し気な素材を使ったものも、装いのライトな色に合わせた色合いのものもあり、大手百貨店などを中心に選びやすくなっています。紳士の装いに加えていただきたいと思います。
■色は上か下に合わせる
カジュアルファッションではソックスの色を差し色にしてアクセントにする、というやり方もありますが、ことスーツスタイルに関しては、ソックスは上にくる「スラックス」または下にくる「靴」と色を合わせるのがルールです。
ソックスは上にくる「スラックス」または下に来る「靴」と色を合わせるのがルール=PIXTAネイビーのスーツに黒の靴であれば、ソックスは黒かダークネイビー、グレースーツにダークブラウンの靴であれば、グレーかダークブラウンというわけです。スーツスタイルはあくまで全身の一体感が大事です。ソックスに関係のない色を持ってくると足首でスタイルが分断され、妙な印象になります。まして、関係ない柄が入ってしまっているものは厳禁というわけです。
■質感も重要に
「質感」にも注意してください。「質感」とは手触りや厚みです。通常のスーツのスムースな生地感に合わせるなら、ソックスもスムーズな手触りで薄手のものが大原則です。毛羽立ったような感触のもの、厚手のものはカジュアルやスポーツ専用のものですから、スーツに合わせてはダメです。
厚手で毛羽立ったソックス。「質感」にも注意が必要=PIXTAまた、新人とおぼしき方がネイビーのスーツに白ソックスをはいているのを時々見かけますが、異質な存在感が浮き上がり、経験不足が丸出しです。きっと学生のころの名残なのでしょうが、会社の研修なり先輩がアドバイスするなり、きちんと教えてあげるべきでしょう。
足元までトータルで捉えるのが「装い」です。特にビジネスでの装いは「隙がある」「抜けている」という印象はマイナスです。ぜひソックスも油断せず気を配ってください。
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丸山ゆ利絵ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。 「できる男のスタンダード講座」記事一覧
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