スマホで「ドラレコ」はアリか? 撮影範囲など弱点も
国内大手メーカーのドライブレコーダーを購入すれば、前方カメラだけの製品でも8000円以上する。「毎日乗るわけではないので、できるだけコストを抑えたい」という人にお薦めなのが、スマートフォン(スマホ)用のドライブレコーダーアプリだ。
スマホにはカメラもGPSも加速度センサーも入っている。ハードウエアはドライブレコーダーとそう変わらないわけだ。数百円の有料アプリもあるが、ほとんどのアプリは無料だ。あとは、スマホをダッシュボードなどに固定するホルダーを用意するだけ。
単純な吸盤や磁石で固定するホルダーは事故の衝撃で吹っ飛ぶ恐れがあるので、強力な両面テープでしっかり固定するタイプがベストだ。長時間運転する場合は、シガーソケットをUSB給電ポートに変換する数百円のアダプターなどを用意し、充電しながら動かすとよい。
iOSとアンドロイドの双方で使える無料アプリで定評があるのが、損害保険ジャパン日本興亜の「セーフティサイト」。事故や急ブレーキなどを検知して自動で録画する衝撃検知録画と、手動録画の機能がある。急ハンドルや急加速の回数などを計測して、安全運転かどうかを診断する機能はユニーク。車間距離が狭いときに警告するなどの運転支援機能もある。ただし、録画画質が640×480ドットと低解像度で、常時録画ができない点は、ドライブレコーダー専用機に見劣りする。
なお、一部のスマホアプリは、常時録画にも対応している。アンドロイド用アプリの「アウトガード」のように、スマホのカメラさえ対応していればフルHDで撮影できるアプリもある。
残念ながらスマホが専用機に及ばないのが、カメラの撮影範囲(画角)。専用機では左右100~130度の範囲を撮影できるが、スマホのカメラは同60度前後が一般的だ。交差点などで横方向から出てくる車両は、ぎりぎりまで撮影できない可能性が高い。また、スマホは高温だと不安定になりやすいため、夏場は室温にも気を配る必要がある。できればスマホアプリは、ドライブレコーダー購入前の試用やレンタカーでの利用にとどめ、自家用車では専用機を購入するのがお勧めだ。
一方、最近では大手損保会社が、ドライブレコーダー専用機を月額数百円でレンタルできるサービスを契約者向けに始めている。通信機能を内蔵し、保険会社との連絡や映像の送信ができるのが特徴だ。保険会社として力を入れているのが、運転スキルの診断サービス。例えば、東京海上日動火災保険の「ドライブエージェント パーソナル」では、「平均的な同年代の運転よりも急ブレーキが多い」といった運転のクセを自覚できる。上記2社の保険に入っているなら、専用機を格安で試せるチャンスだ。
ただ、これらのサービスを1年以上使うとレンタル料で新品が購入できる計算になる。またレンタル機には後方カメラがないなど、必ずしも事故対策でベストな機種ではない。数カ月間レンタルしてみて、通信や運転診断などの機能に魅力を感じなければ、市販の高機能機に乗り換えるのも選択肢だ。
(日経トレンディ編集 大橋源一郎)
[日経トレンディ2018年4月号の記事を再構成]
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