「あおり運転」の証拠も保存 後ろも記録するドラレコ
「あおり運転」など、危険な運転が問題になっている。スマートフォン(スマホ)を見ながら運転する「ながらスマホ」による追突も増えている。これらの事故や事件が起こったときに証拠として利用できるドライブレコーダー(ドラレコ)の映像だ。だが、通常の前方だけ映すものでは後ろからの「あおり運転」や「ながらスマホ」は記録されない。そこで必要になるのがリアカメラが付いたドラレコだ。
リアカメラを装備したデュアルカメラがお薦め
すでにドラレコをフロントに着けている場合、もう1台をリアに装着することも考えられる。簡単に追加できるのはメリットだが、フロントとリアで時刻がズレたりファイルが同期されないといった問題がある。イザというときにどれがどのファイルに相当するのかデータを合わせるのが面倒だ。
最初からリアカメラを装備したデュアルカメラ・ドライブレコーダーであれば、時刻のずれはなく、ファイルもフロントカメラが日時+A、リアカメラが日時+Bといったようにファイル名ですぐに判別できるので、使い勝手がいい。
そもそもフロントカメラとリアカメラでは用途が違うので求められる性能が異なる。
フロントは信号や横からの飛び出しといったものを記録し、事故の際に自分の潔白を証明するための重要な証拠となる。そのため、画角は広めの150~170度位が一般的だ。
また最近はLED信号が増えて映像にフリッカー(ちらつき)が出るようになった。ドラレコの記録フレームレートは30フレーム/秒が多く、関西では電源周波数の60Hzとシンクロしてしまい信号の色が消えてしまうことがよく起こる。フレームレートを25フレーム/秒や27.5フレーム/秒などに切り替えられるものを選ぶのがよい。
フロントカメラは昼間だけでなく、夜間もきれいに撮影できることが求められる。WDR(ワイドダイナミックレンジ)に対応したものであれば夜間や逆光など明暗のある状況でも全体を明るくはっきりと撮影できる。最近は性能に定評のあるソニー製イメージセンサーを搭載していることをカタログに表記するドラレコも増えている。画質が気になる場合は要チェックだ。
一方リアはフロントほどの性能が要求されない。画角に関してはむしろ多少狭いほうが後続車が大きく映りやすい。信号の記録やWDRといった性能もあまり問われない。リアカメラ付きのドラレコを選ぶの方が、フロント用のカメラをリアにも付けるよりだいぶ安上がりだ。
GPSやWiFi対応で時刻設定を正確に
ドラレコを事件や事故の証拠として使う場合、時刻がきちんと記録されている必要がある。設定は結構面倒な上、しばらく乗ってないと内蔵電池が切れて時刻がリセットされてしまうことがある。
これを防ぐ方法の一つがオプションのGPSアンテナを装着する方法だ。
GPSは時刻情報を持っているため、GPS信号を受信すると自動的に時刻を合わせてくれる。また位置情報も撮影画像内に記録されるために、より証拠能力があがるといったメリットがある。GPSのログデータを取り出せるものであれば、後で軌跡を地図上に表示するといった楽しみもある。ただGPS対応の機種といっても、機種によって対応している機能は異なっているので、注意が必要である。
ドラレコによってはWiFiに対応したものもある。スマホアプリと連係して便利に使える。
例えばスマホでプレビュー画像をみたり、設定ができたりする。スマホの時刻を使って自動的に時刻を合わせてくれるので、非常に簡単だ。撮影した動画をスマホの大画面ですぐにプレイバック再生できるというメリットもある。
ディスプレー内蔵のドラレコも多いが、1.5インチなどかなり小さな画面なので細かい状況は分からない。事故などに遭遇して、すぐに撮影動画を確認したい場合にもWiFi接続によるスマホ連動は便利だ。
◇ ◇ ◇
自衛のためのドラレコの装着、特にリアカメラはとても有用だ。しかしながらドラレコを付けたからといって事件や事故に巻き込まれないわけではない。知らず知らずのうちに回りをいらだたせる運転をしているかもしれない。
よく見かけるのは高速道路の追い越し車線を走り続けていたら、後続車からあおられたというもの。追い越しが終わったら、左側の走行車線に戻ることで無用のトラブルを避けられる。
その他、クラクションを鳴らされたときに、後からドラレコを再生してみて理由を探ったり、第3者から自分の運転について意見を聞くのにも活用できる。
できているつもりでもウインカーがほとんど出ていない、割り込み、幅寄せをしていた、相手に急ブレーキなど操作をさせているなどトラブルの原因を作っていないか。自分の操作を客観的にみて運転マナー向上にもつなげられる。
普段から丁寧、かつ周囲に配慮した運転をすることで、事件や事故を未然に防げる。交通に溶け込んだスムースな運転を心掛けたいものだ。
(ライター 野間恒毅)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界