「ケンゾー」が語る 冒険・栄光・挫折の軌跡高田賢三著 「夢の回想録 高田賢三自伝」

「高田賢三が選ぶ自作デザイン10選」の写真も楽しめる「夢の回想録 高田賢三自伝」
「高田賢三が選ぶ自作デザイン10選」の写真も楽しめる「夢の回想録 高田賢三自伝」

国内で1日に刊行される新刊書籍は約300冊にのぼる。書籍の洪水の中で、「読む価値がある本」は何か。書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介するコラム「若手リーダーに贈る教科書」。今回の書籍は「夢の回想録 高田賢三自伝」。2016年に日本経済新聞朝刊に連載した「私の履歴書」を基に大幅に加筆した本だ。ファッションデザイナーの高田賢三氏が、つてもないパリに渡り、自身のブランド「KENZO(ケンゾー)」を築き上げた時代をハイライトに、今に至るまで波乱の半生を描いている。

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高田賢三氏

著者の高田賢三氏は1939年生まれ。神戸市外国語大学を中退し、58年に文化服装学院に入学しました。60年に新人デザイナーの登竜門とされる装苑賞を受賞。卒業後、三愛勤務などを経て渡ったパリで「ケンゾー」のブランドを生み出し、世界に広めました。仏芸術文化勲章(シュヴァリエ位)を受けるなど、その活動は高く評価されています。

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高田氏は、五男二女という大家族の三男として生まれました。小さいころから内気で、友達が野球や缶蹴り、メンコ遊びに明け暮れるなか、家の中で母や姉と静かに過ごすのが好きな少年でした。病気がちだった長女の代わりに少女雑誌の「ひまわり」を買いにいき、中原淳一氏の表紙イラストに魅了されました。そこから、暇さえあればイラストを描くようになっていきます。

神戸市外国語大に進みますが、通学中に偶然「男子の洋裁学生 初めて募集」という文化服装学院の広告を見かけます。すぐに大学を辞め、アルバイトで旅費と生活費を貯めて上京しました。

「将来、どんな会社に就職できるでしょうか」
進路相談を担当する師範科の講師に尋ねたことがある。
「女子ならば就職先は結構あるんだけれど、男子についてはまだよく分からない……」
講師は困ったような表情を浮かべて口を濁した。
(第1部 夢の回想録1 文化服装学院 32ページ)
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