夜中にトイレに起きる、しっかり寝た気がしない。そんな悩みは姿勢と関係があった。ぐっすり眠るための姿勢について専門医に聞いた。
◇ ◇ ◇
最近、寝つきが悪い、途中で何度も目が覚め、トイレに起きることも増えた……。そんな悩みを抱える大人も多いはず。だがそれも、睡眠専門医の白濱龍太郎さんによれば自然なこと。「年齢とともに眠る力は落ちてくるのです」。睡眠と深い関わりのあるメラトニンというホルモンの働きが、加齢とともに落ちてくるからだ。
とはいえ、ぐっすり眠って、朝、すっきり目覚める方法はないものか。白濱さんによると、実は眠るときの姿勢は睡眠の質と関係があるという。
具体的な姿勢の話に入る前に、質の高い睡眠を手に入れるのに必要な2つの要素について触れておこう。1つ目は副交感神経を優位にすること、2つ目が深部体温を下げることだ。
副交感神経は呼吸や血圧、排泄(はいせつ)、代謝などを調節している自律神経のうち、リラックスしているときに活発になる神経。深く眠るためには、日中に活発だった交感神経をオフにして、副交感神経を優位にする必要がある。夜中にトイレに起きるのは、実は交感神経のスイッチが切れていないせいで、腎臓や膀胱(ぼうこう)が働き、「トイレに行け」という指令が出ていることも要因の一つなのだ。
一方、深部体温は内臓など体の中の体温のこと。「朝目覚める頃から上昇を始め、昼間は高いまま、夜にかけて下降する。深部体温が下がると眠くなる仕組みが体にはあり、入眠時には手足から熱を放散して深部体温を下げています」
副交感神経への切り替えを妨げない姿勢とは
つまり、ぐっすり眠るには、副交感神経への切り替えや、深部体温が下降するリズムを妨げない姿勢であることが大事なのだ。