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東京オートサロン 不良脱し、多彩なクルマ文化を結集

2018/1/12

市販車販売の軸が、ミニバンやRV、軽自動車などと多様化。一方でスポーツモデルの販売台数は減少が見られた。ホンダを例にとっても、アコードよりステップワゴン、インスパイアよりオデッセイ、CR-XよりCR-Vと、売れ筋の車種は大きく変わり、シビックやインテグラは運動性能を特化させたタイプRばかりが注目され……と、90年代後半以降は販売構成が大きく変わったわけで、おのずと東京オートサロンはスピード志向のハードなチューニングカーだけでなく、エアロパーツをぐるりとまとったドレスアップカーたちの展示の受け皿という役割も担わされることとなったわけだ。

さらに00年代以降の大きな変化といえば、規制緩和等の環境変化を受けて、自動車メーカー自らがドレスアップやライトチューニングといったカスタマイズの市場に活路を見出し、積極的に展示を始めたことだろう。

現在の東京オートサロンには自動車メーカーも参加している(写真は2017年の東京オートサロン。左上がレクサス、左下が日産、右上がスバル、右下がホンダ)

もちろん会社の看板を掲げるからには、そのブース面積や展示内容は、それまでの規模とは一線を画するものとなる。時同じくして会場を幕張メッセに移した東京オートサロンは、21世紀に入り完全にメジャーイベントへと変貌を遂げた。この催しをほぼ毎回見学してきた僕にとっても、自動車メーカーの参加は、オートサロン最大の転換点だったように思う。

自動車メーカー側としては、この時、既に若者のクルマ離れであるとかクルマのコモディティー化であるとか、そういうキーワードが自らの未来に影を落とし始めているという認識があったのかもしれない。とあらば、合法性や健全性さえ担保されるのであれば、自動車に対して直情的なユーザーがこれほど集まるイベントに、文字通りリサーチ&デベロップメントを交わらせるのもありなんじゃないかと考えたとしても不思議ではなさそうだ。

自動車メーカーは18年も力が入っている。たとえばトヨタが展示すると発表している「GRスーパースポーツコンセプト」。詳細は分からないが、事前の取材から察するにWEC(FIA世界耐久選手権)に参戦しているTS050 HYBRIDのロードゴーイング的なコンセプトカーではないかと予想される。トヨタがこんなものを出してくること自体、オートサロンの存在感が相当大きくなっている証左だろう。

■日本名車のオークションも開催

2018年は自動車オークションも開催される(画像は東京オートサロン公式サイトより)

そして今回の東京オートサロンでは、本格的な自動車オークションも初めて併催されるという。

近年、映画やアニメの影響もあって世界的に知られることになった日本のヒストリックカーたちを投機的売買にさらすことに賛否はあるかもしれないが、その価値を国際的に可視化するという点において、オークションが有効な手段となるのもまた確かだ。多様なトレンドを幅広くのみ込んできた東京オートサロンが、日本の自動車文化の深みも伝える段階に入ったということかもしれない。

現在、東京オートサロンはその原点であるスポーツ系のチューニングカーをアイデンティティーとしつつも、多彩なドレスアップカーの展示が主軸となっている。とはいえ、輸入車や高級車といった垣根も取っ払われ、見慣れた軽トラから最新のランボルギーニまでがフラットに、そして所狭しと並ぶ様子は、東京モーターショーとは明らかに一線を画するものだ。「クルマ好き」というくくりだけでこれほど多彩なカルチャーが全国から集結し、その友が友を呼び続け、現在の30万人オーバーという集客につながっている。誰かによって仕組まれた規模ではないところこそ、このイベントの最大の財産ではないだろうか。

渡辺敏史
福岡県出身。出版社で二・四輪誌編集に携わった後、フリーの自動車ライターに。主な著書に、05~13年まで週刊文春に連載した内容をまとめた『カーなべ』(上下巻、カーグラフィック)。

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