「できない」と絶対言わない 天童木工の職人技天童木工(下)

「自動車の仕事は99年、2000年あたりから増え始め、トヨタ(自動車)さんや日産(自動車)さんなどの高級車で使われるステアリングも手がけるようになりました。弊社は今、全体で約43億円の売り上げ目標を掲げていますが、自動車関連だけで、現在は約9億5000万円の売り上げがあります」

天童木工は高級自動車の部品も手掛けている

「自動車部品の検査は非常に厳しく、目に見えない微細な気泡があってもはじかれてしまう。これに対応するため、弊社では初めて電子顕微鏡を導入しました。特注家具で培った技術力をブランド力に変えるべく、数年前からホームユース(一般家庭向け)事業にも乗り出しています。ホームユースに関しては、ようやく5億円の売り上げ目標を達成できるようになったところです」

「これからはお得意さんというよりも、ファンを広げていくことでしょう。そういう意味ではまだリーチしていないお客様がたくさんいますから、悲観はしていません。むしろチャンスだととらえています。海外にも力を入れていきたい」

――具体的にはどのあたりを指していますか?

「すでに販売実績のあるところでは韓国、台湾、香港。我々が50、60年代に建築家と組んで開発したシリーズは今、このあたりで非常に人気です。また、当時製造したビンテージ品はオークションに出すとかなり高額な値段で売れています。営業担当者の話では、ヨーロッパからも引き合いはたくさんある。ただし、家具を輸出する場合、気候・風土の違いに注意しないと、輸送中に狂いや割れが生じることがあり、そのあたりを見極めながらやっていかないといけません。その点はこれからです」

「海外で勝負するためにも、日本特有の材料をいかに家具材として使い、高いデザイン性と付加価値を付けてお客さんに提供できるか。実はそこでスギが生きてきます。スギの学名は『クリプトメリア・ジャポニカ』。隠された日本の財産という意味だそうです。我々の持つ技術のうち、世界的にも胸を張れるのは成形合板であり、日本のスギを生かすためにも成形合板が必要。そういう意味で、スギ材を使った家具作りは非常に重要なプロジェクトだと思っています」

(ライター 曲沼美恵)

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