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ザ・ビートルズBEST10曲 小倉智昭がとことん厳選 小倉智昭のザ・ビートルズとっておき(1)

2016/9/26

 20世紀最大のスター、ザ・ビートルズが来日公演のため羽田空港に降り立ったのが1966年。50周年の今年は新アルバム発売や記録映画公開と記念イベントや関連ビジネスが目白押しで、新旧ファンの熱気も高まっている。芸能界きってのビートルズ通、キャスターの小倉智昭さん(69)もその一人だ。公演を生で見て、バンド活動で音を探り、膨大なグッズも収集。全曲を半世紀以上聞き込み、メンバーとも交流した小倉さんならではのとっておきの秘話を、インタビュー動画とともに4回にわたって紹介する。1回目は小倉智昭セレクション、ビートルズナンバー「ベスト10」だ。(聞き手は企業報道部次長 松本和佳)

 ――ファン歴50年以上。ハートに火がついたのはいつですか。

 「初めてFEN(米軍の放送網)から流れてきたビートルズの曲を聴いたときのショックは忘れられないよ。東京五輪のちょっと前、高校生のときです。僕はバンドをやっていて学園祭なんかで発表していたんだけど、新しい音楽を吸収するのはFENの洋楽チャートでした。皆で分担してカセットテープに録音、ランキングや歌詞をノートに書き写しては洋楽を演奏していたんです」

 「あるときからビートルズがチャートに登場しはじめて、やがてベスト10に3つも4つも入るようになって。『知ってる?』『すげーよ。かっこいいよ』とバンド仲間で熱狂しましたね。出す曲出す曲ものすごく、いいんだもん。そのうち日本でもレコードが発売されて人気が爆発しました」

 ――ビートルズ出現の「前」と「後」では、音楽シーンもビジネスも大きく変わったといわれます。ビートルズのメロディー、歌詞、何が違ったのでしょうか。

 「『これ、やりたいね』って耳にたこができるくらい聞いていたわけです。新曲が新宿のジュークボックスに入ったと知れば、飛んでいってお金入れて、音を探って。でもね、聞いたことがない不協和音のようなコードが出てくるんですよ。感性が1つの定規で収まらないっていうのかな。イントロもエンディングも、とにかくすべてが新鮮。でも、難しいのよ。演奏してみると、できないことがよくわかる」

 「ビートルズはロックンロールに始まりバラードになり、使う楽器が増えて、アルバムを出すたびに曲が変わっていきました。当時じゃ考えられなかった管楽器やオーケストラのストリングス、インド音楽のシタールなどの楽器を入れたり、テープの逆回転の音を使ったりして、メンバーみんなが好きにやっていた。それでまた面白いものができるのが魅力だった」

 ――相当悩んでベスト10を選んでいただきました。

 「大変でした。週末2日間かけて改めて213曲すべてを聞いてみましたよ。すごいね。やっぱり駄作がないのよ。最初に選んだベスト10第1弾では、やっぱり名曲だからと『レット・イット・ビー』『イエスタデイ』『恋におちたら』『ミッシェル』『ヘイ・ジュード』を1~5位に入れていました。でも、これらの曲は、自分の気持ちの中では本当の上位ではないなあ、と思い直して、改めて第2弾を選んだんです」

小倉智昭さん厳選 ザ・ビートルズベスト10
曲名、英国での発売年解説
1位ジス・ボーイ(This Boy) 1963年イントロのストロークはジョンのギブソンJ-160E、ブリッジ寄りに弾く硬い音が最高。当時このような素晴らしいハーモニーで歌えるロックグループは皆無だっただけに熱狂したよ
2位マザー・ネイチャーズ・サン(Mother Nature's Son) 68年歌詞とメロディーの美しさが絶品。ポールのツーフィンガー奏法も泣けた。マーティンD-28は高根の花だった。僕らのギターであの音は出ず、憧れの曲でした
3位アイ・ウィル(I will) 68年完璧なメロディーを作り後から歌詞をつけるという手順はポールのお得意。ポールがスキャットでベース音を口まねし、おしゃれ。マーティンD-28の弾き語りでコード演奏だけで十分聴かせる
4位シーズ・リーヴィング・ホーム(She's Leaving Home) 67年新聞に載った家出少女の話がテーマ。親と若者の価値観のギャップが美しいメロディーで歌われる。家を出るときの少女の様子、両親の狼狽と描写力がピカ一
5位サムシング(Something) 69年ジョージの最高傑作。妻パティのことを歌ったもので、レイ・チャールズが歌っているのを想像して書いたという。この曲と「ヒア・カムズ・ザ・サン」でジョージはジョンやポールと肩を並べる評価を得るようになった
6位ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット(Do You Want To Know A Secret) 63年ディズニー「白雪姫」の挿入歌「私の願い」をイメージしてジョンが作ったが、完成すると歌はジョージにふさわしいと譲った。ポールが自由に弾きまくるベースは最高だよ
7位ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア(Here,There And Everywhere)66年恋人との永遠の愛を歌ったポールのラブソング。録音時、テープスピードを落とし、再生するときには回転を早めて、女性的な声の響きを作り上げた
8位イン・マイ・ライフ(In My Life)65年ジョンとポールが故郷リバプールを思いながら書いた。昔からよく知っていた場所や友人を回想する詞。落ち着いたギターサウンドに。しかし、ジョンとポールがどの部分を作ったか、それぞれの意見が食い違う
9位アイル・フォロー・ザ・サン(I'll Follow The Sun) 64年ポールが10代のころ、風邪で寝込んだある日、ギターを持って居間に立ち、レースのカーテン越しに窓の外を眺めて作ったらしい。その感性たるや……。演奏すると難しい曲だ
10位ビコーズ(Because) 69年ベートーベンの「月光」ソナタをヒントにジョンが作った。コーラスを効果的にするためジョン、ポール、ジョージが3声を重ねて9声にするアイデアが生まれた

参考
ザ・ビートルズ全曲バイブル(日経BP社)
Profiling! THE BEATLES SOUNDS(幻冬舎ルネッサンス)
MUSIC LIFE ザ・ビートルズ日本公演1966(シンコーミュージック・エンタテイメント)
ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実(白夜書房)
THE BEST OF THE BEATLES BOOK(リットーミュージック)

 「あまりにも自分好みなので、ファンからすれば、『なんで、そこにいくのよ』って反逆児みたいにいわれてしまうかなとも思ったのですが、結局僕が好きなのはバラード。僕がロマンチストだからなのかもしれないね(笑)」

 ――耳慣れた曲とは違い、発見がありました。

 「1位に選んだ『ジス・ボーイ』は日本でのデビューシングル『抱きしめたい』のB面。とにかく大好きで、このシングルはB面を聞く方が断然、多かったの。ギターとハモりがいいんですよ。こんなにかっこいい曲の入りかたはない。2位の『マザー・ネイチャーズ・サン』は音楽が高尚で普通のミュージシャンはこんなの書けないよ、おしゃれでさ。3位の『アイ・ウィル』は何よりもメロディーが最高で終わり方もすてきです(ベスト3の解説は動画参照)」

 ――ビートルズの曲は歌詞やタイトルが印象的です。

 「4位の『シーズ・リーヴィング・ホーム』は、水曜日の朝は5時に始まるっていう、どうってことない歌詞だったりするけど、好きですね。1位にしてもいいくらい。これは新聞に載っていた家出少女の話がテーマで、親の世代と若者の価値観のギャップが美しいメロディーにのせて歌われる。家を出るときの少女の様子、両親の狼狽(ろうばい)ぶり。描写力はピカ一でしょうね」

 ――オリジナル曲はメンバー自身が作詞作曲しています。

 「そう、最も多いのはジョンとポールの共作でレノン=マッカートニーのクレジットだけど、5位に入れた『サムシング』はジョージの最高傑作。『ホワイトアルバム』の終盤に誰もいない第1スタジオでピアノを使って書いたといいます。リンゴのタムを多用したダイナミックなドラムス、ポールの自由でメロディアスなベース、ジョージのギブソンレスポールと思われるサイドギター。楽器のまとまりも出色でしょう」

 「僕が選んだ曲はメロディーがよくて、構成がとても考えられていて、イントロも間奏もエンディングもそれぞれがとってもよくできていて、この時代にどうしてこういう曲ができたの?って感動した曲ばかりです。当時の他のバラードってメロディーがきれいなだけ。ビートルズは途中で1音上げてみるとか、音の作り方がものすごくいいんです。一人ひとりの楽器を調べたらうまい人はほかにもいるだろうけど、4人まとまっての音作りが実に巧妙で、斬新。マネジャーのブライアン・エプスタインがすごかったんだろうね」

 ――歌うのも難しいですか。

「ビートルズファンにベスト10を選んでください、なんて無謀な質問」と言いながら、全曲を聞き直してランキングを作ってくれた小倉智昭さん(東京・六本木のライブハウス「アビーロード」)

 「9位の『アイル・フォロー・ザ・サン』は大学1年生で500人くらい集めてバンドでライブをやったときにベースを弾きながら歌ったんです。音をとるのが難しい曲で、今でも歌えないんじゃないか(と、ちょっと口ずさんでみる)。ビートルズの歌は低く歌うとビートルズではなくなってしまうんだよね」

 「今もビートルズは本当によく聞きます。ここ(取材場所であるライブハウス『アビーロード』)にもよく来ますし。僕はレコードもCDもすべて、それぞれ2~3枚ずつ持っているくらい。レコードは聞き倒してすり減ってしまい、音がガチャガチャになっているものもありますから。ビートルズは今聞いても驚愕(きょうがく)のサウンド。いつまでも色あせないし、いまだに聞いていると涙が出てくるもの。アーティストのレベルが上がり演奏や歌がどんなにうまくなっても、ビートルズを超えられないのではと思っています」

おぐら・ともあき 1947年秋田生まれ。独協大仏語学科卒、71年日本科学技術振興財団テレビ事業本部(現テレビ東京)入社。77年にフリーとなり「世界まるごとHOWマッチ」のナレーションが話題に。現「とくダネ!」(フジテレビ)キャスター。
ザ・ビートルズ(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター)来日公演 1966年6月30日~7月2日、日本武道館(東京・千代田)で昼夜5回にわたって開かれ、約5万人の観客が詰めかけた。武道館初のロック・コンサートとなる。世界ツアーはドイツから始まり日本は2番目。日本公演の後はフィリピンへ向かった。
※9月22日、ライブドキュメンタリー「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK」(配給 KADOKAWA 提供 KADOKAWA、テレビ東京、BSジャパン)が全国公開。貴重な1960年代のライブ映像がリマスターされている。

 

「小倉智昭のザ・ビートルズとっておき」は9月26日(月)から29日(木)まで4回シリーズで公開します。

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