自宅での夕食からホームパーティーまで、さまざまな場面で活躍するホットプレート。昔からある定番の調理器具だが、最近の従来とは異なる特徴を持つ製品が続けて登場している。「2つの料理を同時に作れる」「具材を挟んで焼ける」「油をひかなくてもいい」「肉の中までじっくり焼ける」など、従来の製品とは異なる新世代ホットプレートを紹介する。
上昇するホットプレートの平均価格
自宅での焼き肉やお好み焼きなどに欠かせないのがホットプレートだ。製品としては非常にシンプルで、本体内のヒーターで鉄板を熱して食材を加熱するというもの。製品によってプレートが複数用意されており、脂が落とせる焼き肉用プレートや、お好み焼きなどで使えるフラットプレート、そしてたこ焼き用のプレートなどが用意されることが多い。すでに所有しているという方も多いだろう。そんな定番製品のホットプレートだが、近年の内食傾向からか、新たな動きが見られる。
最近、ホットプレートの平均価格が上がっている。調査会社GfKジャパンによると、家電量販店における2016年上半期の平均価格は、前年同期より約6%上昇した(税抜き)。2013年上半期の平均価格が8100円だったのに対して、2016年上半期は9900円と1万円に迫る。
これまでホットプレートの売れ筋はより多くのプレートを搭載した万能タイプだった。大人数での家焼き肉やお好み焼き、そしてたこ焼きなどが楽しめるモデルだが、最近、これまでの製品とは異なる、魅力的なホットプレートが数多く登場してきているのだ。
その象徴として今、爆発的に売れているのが、プリンセスの「テーブルグリルピュア」だ。夏前には一時、在庫がなくなり、店頭から姿を消すほどの人気となった。これはフラットプレートのみのシンプルなモデルだが、それでいて2万円台と決して安くはない。
しかし、価格以上に、デザイン、機能などがこれまでにない使い方を実現し、新しいダイニングでの調理スタイルを生み出している点が評価されている。今回はそんな新世代ホットプレートを紹介しよう。
白いプレートを採用しデザインに優れた一台
今年登場したホットプレートの中でも最も話題を集めているのが、冒頭に紹介したプリンセスの「テーブルグリルピュア」だ。一般的な黒いホットプレートと異なり、白いプレートを採用。アルミダイカストにセラミックコートを施してあり、非常に火力が強く、食材を素早くカリッと焼くことができる。
表面はセラミックコーティングされているため、油を敷く必要がなく、食材から流れ出た脂も中央の穴から落ちるため、ヘルシーに調理できる。また、プレートの表面に食材がこびり付かないため、使用後は軽く拭くだけでいいなど、メンテナンス性が高いのも「テーブルグリルピュア」の魅力だ。
スタンド部は竹素材を採用するなど非常にデザイン性が高いのが魅力。これならダイニングテーブルに出しっ放しにしておくなんて使い方もできそうだ。
プレート部全体を覆う枠がないため、小さな子どものいるような家庭には向かないが、大人中心の家庭なら、安心して使える。枠がないため、串焼きなどができるメリットもある。
ホームパーティーはもちろん週末のブランチなどでも活躍できそうだ。
大人のつまみに最高の陶板焼きプレート
ホットプレートというと大人数というイメージがあるが、少人数で使うことを想定した商品も登場している。家での一人飲み、もしくは夫婦で楽しむ場合におすすめしたいのが、タイガーの「IH陶板焼き器 GRAND X CRX-A100」だ。
遠赤外線と高い蓄熱性により、食材の中までしっかりと熱せる陶板プレートを採用したのが特徴。それをIH熱源によって加熱する仕組みだ。
食材にゆっくりと火をいれるため、いわゆるホットプレートのように肉などをサッと焼くのには向かない。じっくりと加熱することで水分の減少を抑え、うまみをしっかりと引き出しながら焼くのだ。専用の陶板ふたも用意。蒸し焼きにすることで、ステーキ肉なども、柔らかく調理できる。
また、串焼きなどをゆっくりと焼きながらの、晩酌にも最適だ。まさに大人のグリルプレートといえるだろう。
一度に2つのメニューが楽しめるアイデアプレート
アイリスオーヤマの「両面ホットプレート DPO-133」は、個別に火力を調整できる2つのプレートを同時に使えるのが特徴。焼き肉プレートとフラットプレートが同時に使える製品は少なくなかったが、火力を個別に調整することはできなかった。
これは使っていないときに2つに折ってコンパクトに収納することができ、さらに使うときは、2つの料理面それぞれに異なるプレートをセットすることができるホットプレートだ。
しかも、面白いのが左右それぞれで80~250度まで自在に調整できるということ。このため、右プレートで焼いて、左プレートは保温に使うというスタイルや、フラットプレートとたこ焼きプレートを組み合わせてつかうといったことができる。
お好み焼きなどに適した平面プレートの他、肉の脂などが落とせるディンプルプレート、そしてたこ焼きプレートが用意されており、焼きたい料理に応じて使い分けることが可能だ。
ホットプレートとしてだけでなく多目的に使える
単なるホットプレートとしてだけでなく、他の使い方でも活躍できるのがクイジナートの「マルチグルメプレート GR-4NJ」だ。このモデルも2枚のプレートを付けることができる。
面白いのは、2枚のプレートで食材を挟んで調理できる点。例えば、パンに具材を挟んでプレートにセット。本体のハンドルでプレスするとホットサンドが作れるのだ。また、ハンバーグなども、上下、両面から同時に焼けるため、ひっくり返す手間がない。
付属のプレートは平面プレートと、脂落ちのいい波形プレートのリバーシブルとなっており、使い分けが可能。フラットプレートで目玉焼きを焼いて、網型プレートでパンに焦げ目を付けるといった使い方もできる。
波形プレートのリブが高いので、肉類の脂もしっかりと落とすことができ、焼き肉などにも対応できる。ホットプレートとしてだけでなく、肉料理や朝食作りなど多彩なメニューに対応できる。
家で食べる料理の中でもホットプレートを使うのは、まさに「ハレ」の日の料理。いつもはあまり料理をしない男性でも、鍋奉行ならぬプレート奉行となり、肉やお好み焼きなどをひっくり返していく楽しさは一度味わうとやめられなくなる。その魅力は、今回紹介した新世代ホットプレートでも同じ。使い方やお薦めの料理は異なるが、これらを使うことで自分が主役になれるのは変わらない。
この秋、これらを駆使し、家族やゲストを呼んだパーティーでおいしい料理と楽しい時間を演出してみてはいかがだろう。
(文 コヤマタカヒロ)