台所の油汚れ、落とすなら今 裏技で年末大掃除いらず
大掃除できれいにしたい汚れの代表といえば、台所の油汚れ。実は気温が低く、冷えて固まる年末には不向き。暑さが残り、空気が乾燥し始める今、この時期がおすすめだ。
まずは、換気扇から。プロペラ式の換気扇は比較的分解しやすく、掃除しやすい。問題はダクトを通じて吸い込んだ空気を屋外に排出する、シロッコファンだろう。
特にフィルター掃除を怠ったシロッコファンは、筒状ファンの切れ込みに油がベットリ付着する。そのフィルター掃除の裏ワザを紹介しよう。
用意するのは厚手のゴム手袋と80度程度の湯、そして食器洗い機用の洗剤。まず手袋を装着し、流しの栓をした後、フィルターを並べ、洗剤を振りかける。湯を注ぎ、フィルターを持って湯の中で振り洗い。洗剤を洗い流して水気を切るという手順だ。
食洗機の洗剤 強力な洗浄力
ポイントは食洗機用洗剤を使うこと。もともと食洗機用なので、強力な洗浄力がある。敏感な人は手に触れると赤く、手荒れが起きるほどだ。種類によっては独特の臭いが鼻にツンとくるだろう。そして湯を使って洗うことも重要だ。こすらずに汚れが落ちるので、注意すべき点を承知したうえで試してほしい。
フィルターの掃除を頻繁にしておけば、全体を分解して掃除する回数は減らせる。
訪問先でフィルターの上に紙製フィルターを張り、頻繁に交換する家庭を見掛ける。フィルターを洗うより楽、という判断だろう。しかし、紙製フィルターを張ると換気扇の吸引力が落ちる。油を含んだ空気は換気扇に流れ込みきらず、台所全体やダイニングにも流れ出る。紙製フィルターを装着する家のダイニング照明には、たいてい油汚れが積もっている。
IHクッキングヒーターを使う家庭は、とくに換気扇フィルターの掃除をまめにしてほしい。一般的にIHヒーター用のレンジフードは、ガス用よりもパワフルに吸気できるよう工夫されているが、空気の流れが温度の上昇による上昇気流だけだからだ。換気扇で十分に吸気しないと家中に油や煙が拡散する。
もっとも、換気扇によっては分解に手間がかかる機種がある。元に戻せなかった場合、使用時の異音など不具合を生じることも。近年、掃除機能付きの換気扇が登場したが、掃除機能付きエアコンと同様、手動で掃除しようとすると、複雑だ。不安な場合はプロに任せた方がよい。
コンロの周り 温かいうちに
次はガスコンロの油汚れ。毎回、小マメに掃除すれば、汚れはそれほどたまらない。いため物や揚げ物など油をたくさん使う料理をした後、一気に汚れる。それでも周辺が温かいうちにキッチンペーパーなどで拭き取ると、あとの掃除がずいぶん楽になる。
拭きこぼしなどが固まった場合は、スクレイパーでこそげ取るときれいになる。傷が気になる人はカーボン製や、使わなくなったクレジットカードなどを使おう。
天板はこそげ取ったり拭いたりして掃除できるが、コンロと天板との境目の汚れは、際の汚れまで届かない。つまようじなどを使うとパッキンを傷める場合もある。実はビルトインタイプも下から押し上げたり、マイナスドライバーやお好み焼きのヘラをテコの原理を使ったりすれば、意外と簡単に天板が持ち上がる。我が家のコンロは魚焼きグリルの排気口にあるネジを2本抜きさえすればいい。
最後は壁面。パネルでもタイルでも、平面部分は洗剤や重曹、セスキ炭酸ソーダを薄めた液体で拭き掃除をすればよい。我が家のように汚れがたまってから掃除をする場合はグリル同様、まずはスクレイパーでそぎ落とし、その後、洗剤で拭き掃除をする。
タイルなら食品ラップを張り、汚れが目立ったら張り直す方法もある。壁面を少し霧吹きなどで湿らせて張るのがコツだ。壁面汚れ対策用のフィルムも市販されている。
油汚れは、ある時を境に急に目立つようになる。その正体は、油にホコリなどが付着し、重なったもの。気合を入れる「リセット掃除」に対し、油料理をした後、コンロ周囲が温かいうちにペーパーで油を拭き取るなど、最小限の作業を習慣づける「メンテナンス掃除」がある。リセット&メンテナンスで寒期の大掃除を避け、快適にすごそう。
(家事ジャーナリスト 山田 亮)
[NIKKEIプラス1 2019年9月21日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。