寒い季節に体も温まる お取り寄せ小籠包10選
生もの、しっかり蒸して
寒さがこたえる時期、小籠包(ショウロンポウ)はいかが。豚肉のうまみが詰まったスープが五臓六腑(ろっぷ)を温めてくれる。年末年始の忙しい時期に重宝する、取り寄せ可能な商品を専門家に選んでもらった。
小籠包は中国料理の点心の1つ。小麦粉で作った皮の中に、豚の皮や鶏の足を煮出して抽出したゼラチンと、細かく刻んだ豚肉を混ぜた具をとじ込め、蒸すとスープになる。皮は発酵させない薄皮を使う。手包みだとひだが細かく美しいが、破れないように作るのが難しい。
取り寄せ小籠包は作りたてを急速冷凍してあり、加熱調理をしていない"生もの"だ。家庭では蒸して食べる。電子レンジ可の商品もあるほか、フライパンや深鍋も蒸し器代わりになる。蒸気が出たのを確認してから凍ったまま並べ、指定時間で蒸しあげる。白菜などの野菜を敷くと底が外れにくい。
小籠包と聞くと一口サイズをイメージするかもしれないが、これは台湾タイプ。上海の小籠包は大きめで食べ応えがある。
箸でつまむ時はひだの上を持つと破れにくい。レンゲに載せ、端を少しかじってすするとスープをこぼさず味わえる。冷めると皮が固くなるので熱いうちにいただこう。
生小籠包/もちもちの皮、家の蒸し器でもおいしく
量販店など業務用のギョーザを手掛ける双和食品工業が、15年前から個人向けに販売している工場直販品。機械でこねた弾力のある厚めの皮で、手作りでは出せないもちもち感が特長だ。「あんと皮の間に見えるスープの影が食欲をそそる」(松本学さん)。あんに使う豚肉は九州産で、タマネギなどの野菜も九州を中心に国産を使用。家庭の蒸し器で蒸しあげた時に肉汁がじゅわっと出るように、ゼラチンをよく練り込んだ。「スープには肉のうまみがたっぷり出ていて、甘い口当たり」(宇多聡子さん)
皮がしっかりしているので、家庭でも調理しやすい。フライパンで蒸した後、水分を飛ばしてカリッと焼き目を付けると「焼き小籠包」のようになる。「幅広い世代が喜ぶ味」(池上千恵さん)など評価が集まり、選者全員が10位までに推した。「自分用に買って食べたい」(糸田麻里子さん)との声もあった。
(1)6個561円(2)http://www.oukoku-f.com/
豚肉蒸し小籠包/自家製ゼラチンと薬味、甘みも爽快感も
横浜中華街で人気の専門店。「脂身が少なめな、日本人向けのヘルシーな小籠包」(運営する大鵬の金城暁亮社長)だ。当日仕入れの豚肉や万能ネギを用い、豚の皮を煮込んで抽出する自家製ゼラチンを使うなど鮮度管理に力を入れている。「肉に薬味が入っており、食べた瞬間スープの甘みと爽快感が口の中に広がっていく」(宇多さん)
皮は薄く、軟らかめでひだが多い。「見た目のクオリティーが高く、皮、スープ、あんなど全体のバランスがよい。家庭で調理しても、店で食べる味に近くなるよう作られている」(福野憲司さん)。「形がきれいで味に癖がなく、贈り物にも適している」(糸田さん)。職人がぷりぷりとしたあんを手作業で皮に包む姿は、店内工房で見学できる。
(1)10個1350円(2)http://www.rakuten.co.jp/houtenkaku/
小籠包/たっぷりスープ、まずすすって
創業20年の中国料理個室レストランが出す看板商品。大きめで、一口でほお張るにはギリギリだ。「スープを重視し、あんや皮が邪魔しないよう改良を重ねて完成した」と運営する高繁フードサービスの高田健太郎社長。
白玉粉を入れた皮は薄めながらもほどよくもっちり。あふれ出すスープはたっぷりで、甘くしっかりした味付けだ。皮を破り、まずはすすって味わうのがおすすめ。「ショウガが効いていておいしい」(ユウ・シャーミンさん)。あんは「シャキシャキしたタマネギがアクセントになっている」(池上さん)。
(1)10個1200円(2)https://www.amazon.co.jp/(満月廬 小籠包で検索)
小籠包/大きめの上海サイズ
1969年、日本で初めて小籠包を出した本格上海料理店。「客のほぼ全員が注文する」と盛承興社長。本場と同じサイズで食べ応えがある。「スープの香りがいい。豚肉の良質な脂身や肉汁が味わえる」(松本さん)。店用と同じものを冷凍し、配送する。「繊細でやさしい味」(小沼寿久さん)、「手包みで肉がたっぷり。味のバランスもよい」(茂手木章さん)。
(1)6個1490円(入金確認後の発送)(2)電話03・3434・0005
王府小籠包ver1.0/さっぱり感
2010年、横浜中華街に「焼き小籠包」の店として出店し、後に蒸し小籠包も始めた。「手包みで皮は軟らかめ。食べやすく、スープがたっぷり」(茂手木さん)。「皮のなめらかさとあんのさっぱり感のバランスがよく、何個でも食べられる」(池上さん)。「濃い白ワインやシャンパンにも合いそう」(宇多さん)。皮を工夫した電子レンジタイプもある。
(1)10個1350円
(2)http://www.wangfujing.co.jp/store/
「焼き小籠包」焼き目香ばしく
2位の鵬天閣など横浜中華街で人気の「焼き小籠包」。小籠包とは作り方も味わいも違う。火付け役の王府井が参考にしたのは生煎包(ションジエーンバオ)という点心だ。本場でも焼き小籠包と呼ばれるが、発酵させた皮を使うふわっとした食感。ただ王府井の焼き小籠包は発酵させていない。多めの油で3分の1の高さまで焼き目を付けてカリッとさせた。食べ比べるのもまた楽しい。
小籠包/味しっかり、紹興酒と
05年に初上陸した台湾の小籠包専門店。日本では関東や関西を中心に16店を展開する。レシピは基本的に台湾と同じだ。「やや脂が強く、若い人向け」との声もある一方、「皮がおいしい。あんもほどよくまとまり、スープにもコクがある」(村木美沙さん)と皮への評価が高かった。「王道な小籠包のイメージ」(aiko*さん)。紹興酒と合わせるのがおすすめ。
(1)12個1512円(2)http://jindinrou.net/
精肉店で肉の選定に定評があり、豚まんが有名。「皮が薄くておいしい。あんの練り具合もよい」(村木さん)。「あんは軟らかめで、全体的にやさしい味」(松本さん)
(1)10個1500円(2)http://www.edosei.com/
3人の女性点心師が作る。「皮のひだが細かい。手包みで皮もよく味は日本人向け」(池上さん)。「スープもおいしい」(茂手木さん)。
(1)8個1080円(代引きのみ)(2)電話045・212・5087(小籠包館)
3代にわたり女将が切り盛りする。「一口サイズで食感や味のバランスがいい」(小沼さん)。
(1)10個1300円(2)http://www.jogen.co.jp/
「しっかりした塩味で肉汁にインパクトがある」(池上さん)。
(1)6個960円(2)http://www.paozwan.com/
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数にした。店名(所在地)、商品名。(1)個数、税込み価格(送料別)(2)購入方法
調査の方法 小籠包(ショウロンポウ)に詳しい編集者らに聞き、取り寄せ可能な40品をリスト化。そのうち5人以上が推した商品を20品選出し、専門家が名前を伏せて試食。その評価を編集部で集計した。専門家は次の通り(敬称略、五十音順)。
aiko*(お取り寄せ生活研究家)▽池上千恵(「香港路地的裏グルメ」著者)▽糸田麻里子(フードエディター)▽宇多聡子(「エル・ア・ターブル」エディター)▽小沼寿久(中国飯店「富麗華」支配人)▽福野憲司(崎陽軒本店点心師)▽村木美沙(香港カフェ「代官山 蜜香」店主)▽松本学(ご当地グルメ研究会代表)▽茂手木章(点心師)▽ユウ・シャーミン(国際中医師・国際中医薬膳師)
[NIKKEIプラス1 2016年12月17日付]
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