手土産に笑顔ふくらむシュークリーム
事前準備で作りたてを
もうすぐゴールデンウイーク。実家や親しい人の家に招かれる機会が増える。欠かせないのは手土産。訪問先で手に入れにくい生菓子は魅力的だ。そこで名店のシュークリームで、複数の都道府県で購入できる品をリストアップ。専門家が試食しランキングした。
圧倒的に支持されたのはパティスリー・サダハル・アオキ・パリ(1位)とダロワイヨ(2位)の品。どちらも香り高く濃厚なクリームが特徴だ。
食感が特徴的な品も目立つ。4位のココフランはデニッシュ生地。クッキー生地もある。「最近はクリームのなめらかさとの対比が楽しめる硬めの生地が増えている」(猫井登さん)。
手土産にする際、注意したいのは賞味期限。シュークリームは購入当日であることがほとんどだ。ランクインした人気店は品切れの心配もある。可能なら予約して、大切な人に作りたてのおいしさを贈ろう。
1位 パティスリー・サダハル・アオキ・パリ「シュー・ア・ラ・クレーム」
パティシエの青木定治さんが手がけ、パリ本店と、国内に首都圏や名古屋、福岡に6店を展開する。8年前に掲載した「デパ地下シュークリームランキング」に引き続き1位となった。フランス産の小麦粉と発酵バターを使用することで「より深い風味が出る」という。カスタードクリームにはマダガスカル産のバニラビーンズがたっぷり入り、香り高い。シューにクッキー種をのせて焼き上げた。「口どけがよく、バニラの自然な風味が上品」(下井美奈子さん)、「濃厚でコクのあるカスタードは素材の良さと技術力を感じる」(山本諭さん)。1個520円と価格は高めだが「上品で由緒正しい印象。目上の人に差し上げても大丈夫」(西祐子さん)。安心感のある一品だ。(1)520円(2)丸の内店(東京都)、伊勢丹新宿本店、ジェイアール名古屋タカシマヤ、岩田屋本店など(3)電話03・5293・2800、http://www.sadaharuaoki.jp/top.html
パリに本店を構える老舗洋菓子店が2006年から発売し、現在では日本限定。立方体のような形のシュー生地に、たっぷりバニラビーンズが入ったカスタードクリームがぎっしり。「香ばしくうまみのあるシューとバニラが豊かに香るクリームで、味・質感ともにバランスがよい」(瀬戸理恵子さん)。キューブ型という独特のスタイルも「パティシエの創意と熱意を評価」(大森由紀子さん)。「見た目のインパクトは話題になる」(村山なおこさん)など、高く評価された。通年で展開するカスタードクリームの定番以外に、季節ごとに限定のフレーバーもそろえる。(1)648円(2)銀座本店(東京都)、心斎橋店(大阪市)、名古屋三越栄店、仙台三越など(3)http://www.dalloyau.co.jp/
札幌発祥のクロッカンシュークリーム専門店。「ファクトリーが売り場」で、スティック型のシューを店頭で焼き上げ、注文を受けてからクリームを充填する。店名の通りザクザクの食感のシューが特徴だ。
「生地はザクザクと香ばしく軽やか。細長い形の新しさが手みやげにぴったり」(平岩理緒さん)、「ナッツの香ばしさが生きたシューと、形を保たないほどトロトロのカスタードクリームのバランスが絶妙」(原亜樹子さん)。「片手でも食べられるからパーティー向き」(西さん)との声もあった。(1)250円(札幌では216円)(2)原宿店、ルミネエスト新宿店(東京都)、札幌三越など(3)電話03・5731・8450、http://www.zakuzaku.co.jp/
焼きたてフランス菓子の専門店。皮はバターをたっぷり練り込み焼き上げた、パリパリの食感。「しっかり塩気の効いた生地とカスタードクリームの相性がとてもよい」(aiko*さん)。「デニッシュ生地の食感が面白い。あまり他にないタイプ」(平田早苗さん)。5月末をめどに現行商品の販売は終了。6月から新タイプのシュークリームを販売するという。(1)200円(2)ウィング新橋店(東京都)、あべのキューズモール店(大阪市)、栄 森の地下街店(名古屋市)など25店(3)電話06・6361・7000、http://www.cocofrans.com/
横浜・馬車道の本店など46店舗を展開。パイ生地の上にシューと軽やかなクリームを組み合わせ「サクッ、パリッ、中からとろーりと食感の妙が楽しめる」(村山さん)、「くっきり甘いクリームは子どもにも好まれる」(猫井登さん)。(1)249円(2)東急百貨店東横店など(3)電話0120・04・1150、http://www.boulmich.co.jp/gv/
ベルギーの老舗の日本独自商品。硬めのシューに、バターのコクを効かせたクリームを詰める。「うすめでサクッと軽い皮におだやかな味のクリームがたっぷり」(下園昌江さん)、「生地の厚さや歯応えがほどよく、クリームのなめらかさとの対比が出ている」(平岩さん)。(1)216円(2)小田急百貨店新宿店、阪神梅田本店、ジェイアール名古屋タカシマヤなど17店(3)電話0120.757717、https://www.wittamer.jp/
中部地方以北に113店展開。小ぶりなサイズと甘さを控えたクリームが特徴。「小さめなのにクリームがみっちり入っている」(西さん)、「女子会やピクニックで喜ばれそう」(平田さん)。ショコラ味も。(1)140円(2)三軒茶屋とうきゅう店(東京都)、磐田ららぽーと店(静岡県)など(3)電話0120・160・906、http://www.flojapon.co.jp/
本店は金沢市。皮にかかったシナモンパウダーが特徴で「かぶりついた瞬間にさわやかな風味を感じる」(松本学さん)。(1)180円(2)吉祥寺店(東京都)、藤沢駅店(神奈川県)、福井駅店など(3)電話0120・004・962、http://www.e-maplehouse.com/
「堂島ロール」で知られる。シューに薄いクッキー生地がのる。「あっさりしていてペロッと食べられる」(下園さん)。(1)292円(2)堂島本店(大阪市)、東急百貨店渋谷本店など国内28店(3)電話0120・96・1006、http://www.mon-cher.com/
神戸発祥のドイツ菓子店。クリームはカスタードと生クリームの2層。(1)270円(2)そごう神戸店、高島屋横浜店など41店(3)電話0120・77・9602、http://konigs-krone.co.jp/
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表の見方 数字は選者の評価を点数にした。店名、商品名、ポイント。(1)税込み価格(2)主な取扱店舗(3)問い合わせ先
調査の方法 複数の都道府県に販売展開する洋菓子店、特に品質が高いシュークリームを、専門家の推薦により22点選定。専門家に試食してもらい、味わいやコストパフォーマンス、手みやげにしたくなるかどうか、などの観点で評価してもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
aiko*(お取り寄せ生活研究家)▽大森由紀子(フランス菓子研究家)▽加藤信(全日本洋菓子工業会理事長)▽下井美奈子(スイーツコーディネーター)▽下園昌江(お菓子研究家)▽瀬戸理恵子(フードエディター)▽西祐子(デパチカドットコム主宰)▽猫井登(お菓子の歴史研究家)▽原亜樹子(菓子文化研究家)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽平田早苗(スイーツプランナー)▽松本学(ご当地グルメ研究会代表)▽村山なおこ(菓子コーディネーター)▽山本諭(菓子ジャーナリスト)
[日経プラスワン2016年4月16日付]
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