その動作が不快 オフィスの気になる立ち居振る舞い
見られている意識持って
「仕事で成果を上げても、普段の立ち居振る舞いに問題があるとリーダーや管理職への登用をためらうことがある、というのが企業側の本音です」と社員研修を多く手掛けるインソース(東京都千代田区)の川端久美子常務は話す。
無意識にしてしまう動作で仕事のチャンスを逃すのはもったいない。専門家に印象が良くなる立ち居振る舞いのポイントを聞いた。
「新しい環境でまだ人柄を知られていない時は、余計に動作や雰囲気で判断されるので注意したい」と国際イメージコンサルタントでカーぺディエム(東京都千代田区)代表の西松真子さんは助言する。守りたいのはマナー。上司や同僚、取引先など相手を不快にさせないことが大切だ。「礼儀のある動作は美しさにつながり、好感度を上げやすい」と西松さんは指摘する。
オフィスでの立ち居振る舞いの基本をまとめた。良い例(○)と悪い例(×)を比べ、自分の行動をチェックしてみよう。
(1)のように、上司に不意に話しかけられた時は特に注意したい。パソコンなど作業をしながら返事のみするのは論外。すぐに仕事を中断し、上半身全体で振り返る。基本は立って対応する。そのまま座って聞くのはNGだ。「座ったままでいいよ」と言う上司でも「腰を浮かせて立とうとすることが大切」(川端さん)と言う。
忙しいとつい、書類や資料の渡し方も雑になりがちだが、原則、両手で渡すことを心がけよう。また「渡す時の腕の動きを直線ではなく、滑らかな曲線を意識して差し出すと、より女性らしい動作になる」と西松さんは指摘する。
1人で机で仕事をしている時の様子も意外に見られているので注意したい。NPO法人日本サービスマナー協会(東京都中央区)の講師、伊藤厚子さんは「長い髪の毛先を確認するなど、髪をいじる姿は仕事に集中していない印象を与えかねないのでやめよう」と指摘する。電話などをしながら指先でペンを回す動作も「落ち着きがない、ととらえられる」(伊藤さん)。
机の下は見られていないと思いがちだが、目に入るので気を付ける。足はできるだけ組まず、足先が疲れても靴を脱ぐのは上品ではない。
ヒールの足音小さく
自分は気にならなくても相手が不快に感じることがあるのが「音」だ。例えば、パソコンで入力作業をしている時。爪が長すぎるとカチカチカチと音が鳴り響き「耳障りと感じる人はいるので注意して」と川端さんは指摘する。
「オフィスで歩く時はバタバタと音を立てないようにしよう」と話すのは歩き方の講座を手掛けるファヴリオ(兵庫県芦屋市)代表の高岡よしみさん。ヒールが高すぎて履き慣れないと、歩く時に膝が曲がり、必要以上に足音が大きくなる。歩く姿は意外に多くの人の目に留まる。「背筋を伸ばし、膝裏も伸ばし、足裏全体で着地するように歩くときれいに見え、音も小さく済む」(高岡さん)。
電話の受話器を置く時も気をつけたい。直接ガシャンと置くのではなく、いったん指で通話ボタンを切ってからそっと戻す。机の上に資料を置く時など「どんな物でも丁寧に扱うと印象が大きく変わる」と西松さんは話す。
(坂下曜子)
[日経プラスワン2014年4月12日付]
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