「お邪魔します」で恥かかない 訪問時のマナー
マナーの形とともに言葉で思いを伝えて
年末年始になると増えるのが、友達や上司の家などに招かれるシーン。手土産の選び方に靴の脱ぎ方…。よく考えると「分からない」ことも多いはず。
招かれ上手になるには、正しいマナーを身に付けつつ、訪問先や周囲の人への心遣いを示すことが大切だ。「特に意識したいのが、自分の思いをきちんと言葉で伝えること」と、マナースクール代表の諏内えみさん。
例えば、手土産を渡すときには、「これを召し上がっていただきたくて」と、自分の思いを言葉にして表す。「その一言で、いかに相手のことを思って行動しているのかが伝わります」
上司の家や友達の家など、訪問先によって配慮すべきポイントも併せてご紹介。これでもう、急なお呼ばれにも困らなくなるはず!
~「お邪魔します」の基本マナー~
【 服装のマナー 】
● 服装はフレアスカートがベスト
通される部屋が和室か洋室か、ソファがどれくらい沈むのかなど、実際に行ってみないと分からないもの。どんな状況でも裾が持ち上がったりする心配がなく、正座をしても窮屈ではないフレアスカートがおすすめ。
● ブーツは履いて行かないほうがいい
ブーツは着脱に手間取るので、避けるのが無難。もしもブーツを履いている日に予定外の訪問が入ったら、囲みを参考にして。夏は素足にパンプスなどを履く人も少なくないが、目上の人の自宅を訪問する場合は、ストッキングを着用するのがマナー。
1.体をやや斜めに向け、かがみ込んだり背中を丸めたりせず腰を落とす。
2.床にブーツの床をつけた状態で両脚のブーツのファスナーを下げる。
3.両脚のかかとをブーツから外し、玄関に上がる。
4.ブーツはファスナーを閉め、上半分を折り込み玄関の隅に置く。
【 玄関先でのマナー 】
● 訪問は数分~10分遅れがマナー
招き入れる側は、おもてなしの準備で忙しいはず。早すぎる訪問は、かえって訪問先の迷惑になるということを心得ておこう。指定された時間に数分~10分ほど遅れて到着するようにするのがマナー。
● インターホンに映る段階でコートは脱いでおく
インターホンのモニターには訪問者の姿が映し出される。インターホンを押す前に、着てきたコートは脱いでおこう。インターホンがない場合は、玄関の呼び鈴を押す前にコートを脱いでおく。
● コートは裏地を表にし、中表で畳む
脱いだコートは、「外からのほこりや汚れを訪問先の家の中に入れない」という配慮から、玄関先で裏返し、中表の状態で畳んでおこう。
● 部屋のほうを向きながら靴を脱ぐ
玄関で靴を脱ぐときは、部屋のほうを向いた状態で脱いでOK。後ろ向きに脱いで上がるのは、訪問先の人にお尻を向けることにもなるのでNG。脱いだ靴は、スリッパを履いてから向きを変えてそろえて。
2.スリッパを履いてから床に膝をつき、脱いだ靴の先が玄関を向くようにそろえる
【 お部屋でのマナー 】
● コートはバッグの上やソファの端に置いて
「床に置いたバッグの上に畳んだコートを置くと、遠慮がちに見えるのでおすすめです」。ソファや椅子に座った状態なら、コートを折った状態で背もたれに掛けたり、ソファの肘掛けのところに置いたりしてもOK。
● 「自由にしていて」と言われたら、入り口近くの下座へ
座る場所に迷ったら、部屋の中でドアから一番近い、下座に当たる場所を選んで。和室の床の間や、洋室の飾りのある場所は上座に当たるので、自ら進んで座らないように注意したい。
【 おいとまのマナー 】
● 滞在時間は2~3時間をめどに
滞在時間の目安は、お茶だけであれば一般的に2~3時間くらいと心得て。食事をいただく場合は長くなりがちだが、誘いを受けた段階で、先方におおよその「おいとまする時間」を伝えておくとスマート。
● おいとまの言葉は必ず訪問者から
おいとまは、訪問者から切り出すのがマナー。「楽しかったのでつい長居をしてしまいました」「お夕飯の支度もあるでしょうから、そろそろ失礼します」といった言葉で切り出すと好印象に。
● 改めてお礼を伝え、次につながる言葉を添えて
「素敵なおもてなしを、ありがとうございました」「本当においしかったです。ごちそうさまでした」とお礼を伝え、「ぜひ今度は、私の家にもいらしてくださいね」と、次につながる言葉を一言加えて。
この人に聞きました
All About「暮らしのマナー」ガイド。東京・品川のマナースクール「ライビウム」代表。個別レッスンの「婚活講座」や、「ハッ! とさせる美しい立ち居振る舞い」「また会いたいと思わせる話し方」などのクラスが人気。TVや雑誌などメディアでも活躍。http://www.livium.co.jp
(ライター 原ユキミ)
[日経WOMAN2013年12月号の記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。