「羊高森低」 村上春樹作品、欧米で人気の傾向
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半世紀も生きていると、いろいろ起きる。その昔、マニアなブームのつもりで夢中になっていた音楽や文学や美術やらが、いつのまにか表舞台の大御所になっていたりとか。
たとえば村上春樹。そりゃあ自分も昔カブレてましたけど。いつか「僕」みたいな男子に「ガールフレンド」と呼ばれたい、なんて思ってましたけど。それが今じゃノーベル賞も照準の大作家に。うれしい半面、そんなのちの超大物をツウぶって愛好していた青い自分も、なんだか。
というわけで今週は、その村上春樹関連のお品物「羊高森低」だ。冬の気圧配置とはぜんぜん関係なく、「羊」はその代表作の「羊をめぐる冒険」、「森」は「ノルウェイの森」のこと。世界的な作家となった村上春樹の欧米での人気の傾向を言う。
つまり欧米では村上作品のなかでも、「森」などのリアリズム系より、「羊」などのファンタジー系作品が好まれるという意味。反対語として、アジアでの人気の傾向を言う「森高羊低」というのもある。
そもそも村上春樹の研究本などで紹介され、愛好家の間では知られた四文字熟語とか。初期のファンも欧米型が多そうなので、年齢当てにもお使いください。
(ライター 福光 恵)
[日経プラスワン2014年2月1日付]
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