息切れにサヨナラ 「呼吸を鍛える」肺周り筋トレ

そこで聖隷三方原病院(浜松市)に呼吸療法認定士の夏井一生さんを訪ね、横隔膜や腹筋群を意識した呼吸と歩き方を教えてもらった。吸うときは横隔膜を思い切り下げて、吐くときは腹筋で押し上げるようにする。駅から家への帰り道に実践。吸うときに立ち止まるので周囲の目が気になるが、数週間続けるとコツをつかみ、ゆっくり長く吐き続けられるようになった。

肺を包む胸郭の動きが良くなるマッサージも習った。寝る前に、横になってできる。「年齢とともに肋骨の間を支える筋肉や鎖骨の辺りが動きにくくなるうえに、姿勢が前かがみになりやすく、胸郭も閉じがちになる」(夏井さん)。肋骨の下の部分を触り、骨と骨の間を優しくほぐすだけで、不思議と呼吸が楽になるのを感じた。

瀬戸口さんには胸郭を開いたり引き上げたりする運動を習った。椅子に座りながらでもできる。しっかり腕を上げて、胸を開きながら運動する。1、2回続けると汗ばむほどだ。

さらに昔ながらの玩具「吹き戻し」を使った運動も取り入れた。横隔膜と腹筋を意識する、いわゆる腹式呼吸の訓練をうたったドリーム(名古屋市)の吹き戻しは長さが約1メートルあり、相当おなかに力を入れなければ伸ばしきれない。

■肺が9歳若返る 階段で息切れず

最初はなかなかできなかったが、1週間ほど続けるとスッと伸ばせるようになった。取扱説明書には戻すときも一気に戻さず、ゆっくりと書いてある。これは難しかった。

風船を膨らませるのもいいと聞き、1日2個を目標に膨らませた。一吹きで膨らむ大きさは、最初の2倍近くになった。

最初の肺活量測定後、1カ月半の間、サボりながらも呼吸を意識しておなかに力を入れて生活をした。結果、努力性肺活量は予測値の97%まで改善し、肺年齢は9歳若返り、47歳になった。階段の上りも息切れせず、楽器は練習曲の規定の長さまで伸ばせるようになった。良い結果になったと思う。実年齢になるまで頑張るつもりだ。

記者のつぶやき
本当に肺活量を増やせるのか半信半疑だったが、呼吸にかかわる筋肉を意識して動かす生活を送ると、1カ月半で約1割改善した。呼吸は首の後ろ側の延髄がつかさどっており、意識することなくできる。ただ放っておくと、呼吸する力は徐々に落ちていくことも分かった。
肺活量は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期発見を目指し、人間ドックでも測るよう推奨され始めている。何となく息苦しさを感じている人は、まず測定してみるといいだろう。思えば成人してから深呼吸する機会もなく、きちんと息を吐き切れていなかった。これからは呼吸を大切にしていこうと感じた。
(吉野真由美)

[日経プラスワン2013年12月7日付]

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