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睡眠の悩み5人に1人 専門外来の新設増える 診療科超え連携 厚労省も指針改訂へ

2013/11/8 日本経済新聞 夕刊

 「夜中に目が覚める」「昼間に眠気を感じる」。こんな睡眠の悩みを感じる人は多いだろう。睡眠障害という病気のケースも少なくなく、最近では専門外来を設ける医療機関が増えている。診療科を超え、連携して治療に当たる動きも。5人に1人が睡眠に悩んでいると言われる中、厚生労働省も快適な睡眠法など睡眠指針の改訂に乗り出した。皆さん、ぐっすり眠れてますか?
睡眠障害の治療に取り組む日本大学板橋病院の睡眠センター(東京都板橋区)

 「寝付けなくて夜中によく目がさめます。睡眠薬も効きません」。日本大学板橋病院(東京・板橋)の睡眠センターで、50代の男性は医師に訴えた。

 「横になると脚に嫌な感じがして、動かずにいられなくなりませんか」。医師の質問に男性は思い当たる節があった。診断結果は、寝つきを妨げる睡眠障害の一つ「レストレスレッグス症候群」。安静にしていると脚がムズムズするなど異常な感覚を覚え、じっとしていられなくなる症状で、原因は体質や鉄分不足。患者は30~40人に1人で、特に、胎児に鉄分を取られる妊婦の患者は5人に1人とされる。睡眠薬だけでは治らず、異常な感覚を抑える服用薬が必要だった。同センターの内山真教授は「診断で不眠の原因を特定できなければ誤った治療を選択してしまう」と話す。

 睡眠センターは予約制で1日30~40人が受診。高齢者だけでなく夜勤がある職場などの若い患者も多い。内山教授は「薬だけでなく正しい睡眠習慣を指導する体制が必要」と説く。

 高齢になるほど睡眠障害の頻度は高くなる。入眠から目覚めまでの時間が長いためだ。睡眠時の環境、ストレス、生活習慣、薬の副作用。様々な要因が招くといわれ、最近では不眠症があると糖尿病などになるリスクが1.5倍以上に高まるという生活習慣病との関連も指摘される。不眠症のほか、日中に急な眠気に襲われる「過眠症」や睡眠中の呼吸が妨げられる「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)など睡眠障害は様々。正確な診断や適切な治療に向け、複数の診療科が協力する動きも出てきた。

 東京医科歯科大病院(東京・文京)はその一つ。09年に開設した「快眠センター」には呼吸器内科、歯科、耳鼻咽喉科、精神科など複数の専門医が所属する。患者の症状に応じて対応する医師が異なる。患者が不眠のほかに「気持ちが沈んでいる」と訴えれば、精神科医が担当。尿意など睡眠を妨げる病気を抱えていれば、まず泌尿器科が診る。

 1カ月の外来患者約350人のうちSAS患者が約7割を占める。40代の男性会社員は会議中にいびきをかき、眠ってしまう症状を訴えた。診断結果はSASが原因と判明。鼻から空気を送り込み気道を広げるマスクを付け就寝する「CPAP」と呼ばれる治療を受けた。眠気は無くなった。

 SAS患者増加のきっかけは03年のJR山陽新幹線運転士の居眠り運転で、SASが治療の必要な病気との認識が広まったことにある。車の運転時のハンドル操作ミスが2~7倍という研究結果もあり、放置すれば重大な交通事故のリスクを抱える。宮崎泰成教授は「治療を受けているSAS患者は氷山の一角。簡単な検査で診断ができるため、いびきや昼に強い眠気を感じる人は専門外来の受診を」と訴える。

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