睡眠不足だと危ない 「更年期高血圧」にご用心日経ヘルス プルミエ

実は更年期は血圧が上がったり下がったり変動しやすい時期なのです。放っておくと、やがて本格的な高血圧へと進んでいってしまいます。だからこそ、この時期の対策が肝心。さあ、血圧改善ライフを始めましょう。

高血圧(正常高値も含む)の年代別頻度。血圧は加齢とともに上がる。女性の場合は男性よりも遅く、40代以降から高血圧になる人が急増。50代ではほぼ半数、60代では7割近くに上る。(データ:平成22年国民健康・栄養調査)

最近、血圧が高くなってきた。以前はむしろ低血圧だったのに……。40、50代になると、こんな悩みを抱える女性が増えてきます。実は、更年期は血圧が不安定になりやすい時期。少し高めという予備軍も含めると、高血圧の人は40代でおよそ4人に1人(28%)、50代では2人に1人(49%)に増えます。

「女性ホルモンのエストロゲンには、血管を拡張させる働きがありますから、女性は男性に比べ、若いころは血圧が低い。しかし40代に入ってエストロゲンが減りだすと、血管の柔軟性が低下し、血圧も次第に上がっていきます」と静風荘病院(埼玉県新座市)女性外来の天野恵子さんは話します。

140/90mmHg以上が「高血圧」で、高さに応じて重症度が決まる。「正常高値」は少し高めの高血圧予備群。130/85mmHg未満が「正常血圧」。「至適血圧」は最も病気になりにくい理想的な血圧

特にエストロゲンが激減する更年期には、血圧が上がったり下がったりの“乱高下”状態になることも珍しくありません。「女性の場合は、更年期の前からじわじわ高くなる人と更年期を機に急に高くなる人がいます。後者は、いわば『更年期高血圧』とでも呼べる状態。ストレスなどちょっとしたことで血圧がぐんと上がったり、また元に戻ったりを繰り返します。以前は低血圧だったという人にも見られます」と東京大学医学部循環器内科准教授の平田恭信さん。

また最新の研究結果では、ホットフラッシュ(発汗やほてり)との関係も明らかに。これは更年期女性1058人を対象にした自治医科大学とテルモとの共同研究。同大学循環器内科教授の苅尾七臣さんは、「更年期にホットフラッシュのある女性は、そうでない人より血圧が高い傾向にあり、特に喫煙者で顕著でした。実際の診療でも、ホットフラッシュに悩む人は血圧も乱高下していることが多い」と話します。

遺伝的な「体質」、喫煙や運動不足が招く「血管の老化」、睡眠不足やストレスによる「交感神経の緊張」、「食塩のとりすぎ」、更年期の「女性ホルモンの減少」は、血圧を上げるリスク。該当数が多いほど要注意

もう一つ、高血圧と深い関係にあるのが、妊娠時の体調。「妊娠していた時に血圧が上がったり、尿にたんぱくや糖が出たりした人は、中年以降、高血圧になりやすい」と苅尾さん。

血圧はよほど高くならないと頭痛などの症状は表れず、基本的に無症状。血圧を測って初めて高いことに気づいたという人がほとんどです。ホットフラッシュや妊娠高血圧だけでなく、「体質」や「血管の老化」「食塩のとりすぎ」「交感神経の緊張」も高血圧を招くリスクになるので、ご用心!

まずは右のリスク表で危険性のチェックを。

高血圧を放置すると将来、脳卒中や心筋梗塞など命を脅かす重大な病気になる危険性が増します。それを防ぐためにも、更年期からの血圧管理がとても重要です。