カフェでものづくり 手芸や3Dプリンターで人形も
編み物など趣味探しに
「こんなふうに物が出てくるんだぁ」。10月中旬の日曜日、東京都渋谷区の「FabCafe(ファブカフェ)」は女性客の歓声に包まれた。
視線の先には3Dプリンター。軽快な作動音とともに色鮮やかな樹脂を何層にも積み重ね、立体的な輪形が出来上がる。クッキーの型だ。動物や出身県の形など、参加者がデザインした。完成後に生地に押し当てると、同じ型のクッキーが次々に焼き上がった。
同店はパソコンで描いた絵などを基に、立体物を作る3Dプリンターなど先端製造機械を時間制で使えるカフェ。ほぼ毎週、機械の使い方などを学ぶ催しを開き、作ったものも持ち帰れる。
クッキー型作りもその一つ。都内在住の女性参加者(29)は「教室ではなくカフェでものを作る感覚が新鮮」という。参加者はリラックスした雰囲気のなか、思い思いにものづくりに没頭する。
昨春の開業直後は男性客に偏り、木材や革の加工が多かった。3Dプリンターを活用し、自分の顔型チョコレートを作る今春の催しを機に女性が急増。今や来店客は男女ほぼ半々だ。最近は携帯電話ケースなどを好みに応じて加工する女性も増えた。
東京都港区のカフェ「森のこぶた」。虎ノ門駅に近いビジネス街にあるこの店では、多くの女性が熱心に毛糸やビーズを使う手芸に取り組んでいる。「ニットカフェ」という編み物などを自由に楽しめる店だ。客の9割以上を女性が占める。
初心者向けに毎月1回以上、専門講師がテーマを決めて材料を準備し、作り方を教える催しがある。お茶を楽しみ、一服してから作業を始めるというカフェならではの講座だ。喜多見理恵オーナーは「私自身、カフェと編み物が好きで始めた店。編み物に限らず、織物や刺しゅうなど、他の客に迷惑でないなら、自由に作ってもらって構わない」と話す。
通常の教室以上に自由に使えるのがものづくりカフェの特徴。利用することで自分の中に眠った思わぬ創作センスに気づき、新しい趣味が見つかるかもしれない。
予約・料金 事前確認を
ものづくりカフェを上手に利用するには事前の情報収集も大切だ。この種のカフェは全国各地で増えている。居住地域と作ってみたい物の2つを念頭に、探してみよう。
インターネットなどで行きたい店を見つけたら、予約の要否と料金の仕組みを確認しよう。予約をしないと、ものづくりができないこともある。例えばファブカフェは月~水曜日は機械の利用予約を受け付けている。予約なしでは使えないことがある。予約状況はネットで確認できる。
料金については、飲食代しかかからない店もあれば、機械利用費や講師代が別に必要な店もある。自分の想定予算に合うかどうかを、最新情報を基に調べておきたい。
初心者向けのワークショップは便利だが、自分が行ける時間に開いているとは限らない。イベント開催時間に都合がつかない場合は、店の繁閑を知っておくと効率的だ。
森のこぶたの喜多見さんは「昼食など混み合う時間帯が終わった午後3時以降の来店だと、編み物への助言や指導もマメにできるのでお勧め」と明かす。ファブカフェもイベントのない比較的すいている時間なら、店員に相談しやすい。
カフェの雰囲気を気に入るかどうかも、快適なものづくりのためには大切だ。できれば1度、下見に行き、繁閑なども含めて確認しておくといいだろう。
(堀大介)
[日経プラスワン2013年11月2日付]
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