肌チェック、スマホで手軽に 画像からアプリが判定
夏の強い日差しは日焼けやシミの原因になりかねない。夏本番を迎え、肌の状態が気になる女性は多い。日焼け止めや基礎化粧品などで入念に手入れをする一方、肌の状態をきちんと把握したいという人もいるだろう。そんな要望に応えるため、身近にあるスマートフォン(スマホ)を使って肌の状態を簡単にチェックするアプリ(応用ソフト)が増えてきた。
NTTコミュニケーションズが今年6月に試験的に提供を始めたアプリ「美肌ログプラス」が、女性の間で静かに人気が広がっている。スマホのカメラで顔を撮影すると、画像データが同社のクラウドシステムに送られて解析され、シミとしわの評価結果がスマホに返送される。前回の撮影時のデータや、同世代の他人との比較もできる。
お薦め化粧品提案
「スマホ一つでできる手軽さが受けている」。NTTコムでアプリ開発に携わった先端IPアーキテクチャセンタの新地夏代担当課長はこう分析する。
肌のチェックというと、百貨店の化粧品売り場で購入時のカウンセリングとして専用機を使って評価を受けた人も多いだろう。ただ、女性からは「気軽にチェックできない」「人前で化粧を落としたくない」といった声があるという。スマホを使えば自宅にいながら簡単に肌チェックができる。
美肌ログプラスには画像データの基づく評価に加え、肌質に関する質問への答えなどからお薦めの化粧品を提案したり、お手入れのアドバイスをしたりする機能もある。NTTコムの試験提供は10月末でいったん終わるが、ドラッグストアのアインファーマシーズが1日から自社の顧客向けサービスとしてシステムを採用した。
日立マクセル子会社のマクセルスマートコミュニケーションズ(東京・千代田)が今年秋に本格展開を目指しているサービスが「hada more(肌モア)」だ。
利用者は発光ダイオード(LED)ライトを組み合わせた外付けレンズ「Memoret(ミモレ)」を自分のスマホのカメラに装着。専用アプリを使って肌を撮影すると、肌の状態をキメやシミ、毛穴など6項目で判定する仕組みだ。
最大の特長が、自動車のバックモニター用の設計技術を使って開発した外付けレンズだ。外光を遮断し、LEDの波長を変えることで肌の表面とシミができる層の2つを撮影する。コントラストがはっきりとした、隅々まで鮮明な画像が撮影でき、学術分野でも利用できるレベルという。
評価結果は数値で示されるため、「お手入れや睡眠の効果を実感できる」(マクセルスマートの楠本文恵取締役)。肌のデータを化粧品メーカーに提供して利用者に適した化粧品を提案することもできる。食事や睡眠時間などの情報をもとに、肌のお手入れのアドバイスも表示する。ミモレは1万円以下で発売し、アプリの利用料は月に数百円とする見込みだ。
場所問わず正確に
雑誌や化粧品の付録としての利用を想定しているのは、富士通が開発した「肌メモリ」だ。スマホで撮影した肌の画像を解析し評価する仕組みは他社と同じ。ポイントは、照明の異なる場所で撮影しても肌の状態を正確に測定することだ。標準色を印刷した「カラーフレーム」を肌と一緒に撮影することで照明の影響を補正する。額、ほお、口元を撮影すればシミと毛穴、肌の色を点数で表示する。
携帯電話サイトのエムティーアイが運営する女性の健康管理サイト「ルナルナ」と連携し、昨年末から今春にかけて実証実験を行った。利用者からの声を生かし、測定日や化粧品を変えた日を管理するカレンダー機能や、状態の変化をグラフで表示する機能を加えた。今後、新たな事業者と連携してサービス提供を目指す。
スマホで肌をチェックするアプリは、ほかにも様々な企業が手掛けている。チェック機能や利用方法はそれぞれ異なるので、自分に合ったものを見つけたい。
(産業部 川名如広)
[日本経済新聞夕刊2013年8月1日付]
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